交通事故で腰椎や胸椎を圧迫骨折したという相談を過去に何度か受けたことがあります。交通事故による骨折の場合、MRI画像(特に受傷直後に撮影されたもの)で水分反応がでます。水分反応が強いという事は、その骨折は新鮮骨折といえます。
<新鮮な腰椎圧迫骨折・・・第3と第4腰椎がMRI(T2)で骨折部が白く描出されています>
しかし、交通事故の被害者が高齢であった場合、骨折箇所を注意深く見る必要があります。相談会で高齢者の画像を確認したところ、水分反応がありませんでした。本人やご家族は交通事故で骨折したと言っていました。本人たちは嘘をついているようには見えません。これはどういうことでしょうか。
結論としてその場合、交通事故以前に既に骨折していたことになります。
年齢を重ねると、骨が弱り、時には本人が気付かないうちに骨折していることがあります。骨折していれば痛みが出るのでわかると思われるかもしれませんが、例えば、もともと腰痛持ちの高齢者が腰椎を圧迫骨折してしまっても、いつもの腰痛(その日は少し痛みが強かったか?)と考えてしまい、骨折を見逃す場合があります。
※ 極端な方はくしゃみで肋骨を折った方もおります。
また、高齢者もいろんな方がおります。元気で運動もよくされる方がいる一方で、ほぼ寝たきり状態の方等、様々です。このような方が交通事故に遭われた場合、骨折しても無理はありませんが、それが本当に交通事故によるものなのかを保険会社や調査事務所は常に疑います。
少なくとも、以下のことをよく検討する必要があります。
・受傷時点で骨折するレベルの衝撃があったかどうか。
・骨折直後に撮影したMRI画像上で水分反応があるかどうか。
・交通事故以前に怪我や痛めていた箇所があるかどうか。。