平成23年4月の新基準でも触れられていましたテーマです。脳の障害でうまくしゃべれなくなった状態を解説します。

■ 言語機能に関する検査 

事故以来言葉をスムーズに発っせなくなった、極端にゆっくり話すようになった、こちらの言うことに対する理解が遅く会話が滞りがちになった…これらは一般に失語症となりますが、高次脳機能障害の場合、以下の2種が代表的です。

1、運動性失語  左前頭のブローカ領域の損傷。話し言葉の流暢性が失われます。どもりやすい、言いたい事が思うようにでてこないなど、家族は事故後の変化がはっきりわかるはずです。

2、感覚性失語  左側頭に位置するウェルニッケ領域の損傷。流暢性は保つものの言い間違いが多く、発言量の割に内容も乏しくなります。意味不明な言葉、とんちんかんな事ばかり言っている状態もあてはまります。

 くも膜下出血で倒れた人が左脳の出血と損傷によって、言葉に障害が残ってしまったケースと似ています。しかし高次脳機能障害は程度の軽重に差があるため、軽い失語症は事故のショックのせい?と周囲も安易にみてしまいます。もっとも右側頭葉のみにダメージを受けた患者さんは、「会話・発言・読み書き」に関して以前と変わらないことも多いようです。

 失語症に絞った専門的な検査がありますので挙げます。

① 標準失語症検査 (SLTA)

 失語症の有無、重症度、タイプの鑑別を行います。短文やまんがなど26項目についてそれぞれ読ませ、後に説明させます。正答から誤答まで6段階で採点します。リハビリ計画の策定の為に行われることが多く、リハビリ施設では失語症の定番検査です。