記憶障害は、高次脳機能障害でもっとも典型的な障害です。高次脳機能障害の場合、自分の名前や家族などを忘れてしまう、いわゆる「記憶喪失」とは違う症状を見せます。ほとんど事故前の記憶を留めるものの、ある一部分だけすっかり忘れている、または昨日の記憶、5分前の記憶が欠落してしまう・・・これらは短期記憶障害に分類されます。
例えば、飼っていた猫の名前を忘れて思い出せなくなってしまう、昨日散々「明日は病院の日だからね」と言っておいたのに、今日になったら忘れている、数分前の会話の内容が思い出せず、同じ事を聞いてくる。症状は患者によって千差万別ですが、これらが家族を悩ませ、職場復帰を困難にしています。この状態を障害として、客観的に示すには、専門の検査を受けなければなりません。
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■ 記憶検査
① 日本版ウェクスラー記憶検査 (WMS-R)
世界的に標準とされる記憶検査で、言語を使った問題と図形を使った問題を13項目行います。
指標項目 | 関連する下位検査項目 |
言語性記憶 | 論理的記憶 言語性対連合Ⅰ |
視覚性記憶 | 図形の記憶 視覚性対連合Ⅰ 視覚性再生Ⅰ |
一般性記憶 | 言語性記憶+視覚性記憶 |
注意/集中力 | 精神統制 数唱 視覚性記憶範囲 |
遅延再生 | 論理的記憶Ⅱ 視覚性対連合Ⅱ 言語性対連合Ⅱ 視覚性再生Ⅱ |
100点を標準とし+-15点を正常値とします。所要時間は1時間程度です。WMS-Rは記憶障害の基本検査です。この検査から、全体の中で比較的IQの低い項目に注目、より絞った検査を追加しています。
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