中断してていました骨盤骨折、シリーズを再開します。
 
👉 前回  ① 腸骨骨折
 
【2】骨盤骨折・不安定型

 前回の①~④までは、【1】安定型とのくくりで、骨盤輪にゆがみや崩れがなく、骨折が癒合することが多い傷病名から解説しました。今回からの不安定型は重傷と言えます。

(1)ストラドル骨折・マルゲーニュ骨折

① 病態

 骨盤は骨盤輪と呼ばれる内側でぐるりと輪を作る環状構造となっています。この骨盤輪が、一筆書きに連続しているので、骨盤は安定しているのです。両側の恥骨と坐骨の骨折で、骨盤輪の連続性が損なわれている状態をストラドル骨折と呼びます。

ストラドル骨折
straddle骨折

 
 骨盤複垂直骨折であるマルゲーニュ骨折では、骨盤の安定性が失われ、骨盤がぐらつきます。

マルゲーニュ骨折

② 症状

 骨折部の非常に激しい痛みで、歩くこと、動くこともできません。内臓損傷となれば緊急手術となります。泌尿器に損傷が及べば排尿障害となり、「頻尿」は常に尿意があり、回数が増える。または尿漏れ。逆に「閉尿」は尿が出なくなります。また、仙骨神経に損傷があれば、下肢にしびれが生じ、ひどいと動きが悪くなります。
 

③ 治療

 骨盤複垂直骨折は、この骨盤輪を形成している骨盤が2カ所骨折したもので、2カ所の骨折により骨盤の安定性が損なわれます。転位の大きいものは、一旦は、創外固定器により、骨盤骨の安定化を実現し、その後に、整復固定術が実施されています。

創外固定
創外固定

 
④ 後遺障害のポイント
 
 シリーズの最後にまとめて解説します。
 

 ⇒ ⑥ 恥骨結合離開・仙腸関節脱臼