今日から数日は日付通りに日誌を書いていません。月曜から出張で昨日夜戻りました。遡って日誌を埋めていきますね。

2日連続の首都圏会議

 恒例のレポートですが、2日間30人を超える相談者の事後対応にてんてこ舞いです。印象に残ったことを少しばかり・・・

1、罪作りな医師

 単なるムチウチで、「脊髄損傷」。これをよく目にします。ムチウチでも神経症状を伴い、バレリュー症候群の状態に陥ると、被害者さんは結構きつい自覚症状を訴えます。そのとき医師の診断力が運命を左右します。適切な緩和措置をとればいいのですが、「様子を見ましょう」と的確な治療ができない。反対に「脊髄損傷」等、重症の判断をする場合があります。この軽薄に診断した傷病名が患者の頭を支配し、精神的に重症化します。ここから病院デパートが始まります。検査であっちこっちの病院へ行きますが結局、確定的な所見は出ません。これで医師に嫌がられる、さらに保険会社に疑われる、会社からも信用をなくす・・・迷える被害者の出来上がり、事故解決は泥沼化となります。
 脊髄損傷は歩けないほどの重症です。それなのに「軽度損傷の疑い」程度の診断は珍しくありません。その結果、あらぬ方向へ交通事故が迷走する。困ったものです。

2、罪作りな弁護士

 某弁護士に依頼し、「12級が取れる!」と言われたケース。これも頻繁に目にします。何を根拠に12級を想定したのか・・・自賠責の認定基準をよく知らず、労災の認定基準のみを頼りに判断しているようですが、「甘い」読みは被害者を迷わせるだけです。この弁護士先生は画像も見ず、医師にも面談せず、診断書の記載内容だけで判断し、動き出しました。しかし勝手に12級を想定して医師に診断書の追記をお願いしましたが、医師の反対意見に対し何も言えません。そして12級の掛け声はトーンダウンする・・・心意気はわかりますが、経験不足だなぁと思います。交通事故外傷に対し、常に謙虚に、また正確に被害者を観察する目を持たねばなりません。私たちも「14級か12級か」について毎回丁寧に検証をしますが、初回の面談である程度わかります。経験こそすべてなのです。

3、弁護士の寄り添い方

 弁護士と一緒に仕事をしていて常に気を付けていることがあります。それは弁護士が事件を受任し、「私が〇〇さんの代理人です!」と事故相手の保険会社に通知するタイミングです。
 被害者と保険会社で話し合いが上手くいかず、諸々の問題が生じてきた場合、代理人弁護士は頼れる味方です。しかし、信頼関係までとは言えないまでも、保険会社担当者と被害者間の関係が良好で、何も問題が起きていないケースもあります。ここで「代理人通知」を送れば、保険会社担当者もびっくり、一気に関係は険悪、戦闘モードに突入です。
 いずれ厳しい賠償交渉を弁護士にお願いするとしても、それまでは保険会社とは良好な関係を保つべきと思います。保険会社は加害者=敵でありません。事故直後、治療費や休業損害など急場の補償をしてくれるありがたい存在です。保険会社との関係を風通し良く順調に進めて行くために、当然に弁護士が間に入ることが有効となります。しかし場合によっては陰となり、アドバイスを通じて被害者を誘導していくことが適切なケースもあります。事件によってどちらのやり方でいくか?どのタイミングで間に入るか?この判断が代理人弁護士に求められます。
 交通事故に不慣れな熱血弁護士や杓子定規に業務を行う弁護士はこの判断を間違えます。受任後タイミングを計らず、保険会社に代理人通知を行って事故解決の流れを壊します。

 保険会社との関係・・・人の機微を知ること、これも事故解決に必須のマインドです。


 交通事故の相談は法理論や知識だけでは埋まりません。このような人の機微に関することも皆で知恵を出し合います。「3人寄れば文殊の知恵」ですね。

 相談会に参加された弁護士、行政書士、その他スタッフの皆様、お疲れ様でした。

 
 都内に3連泊後、その足で岐阜へ向かいました。明日報告します。