交通事故外傷、後遺障害の60%を占めるのは頚椎捻挫、いわゆる「むち打ち」です。次に多い傷病名は、腰椎捻挫です。では、その次は? 恐らく「鎖骨骨折」ではないかと思います。

 統計では「骨折」のカテゴリーですが、その骨折の中で一番多い部位は経験上、鎖骨です。特にバイクの事故、単なる転倒でもよく折れます。弊事務所でも鎖骨は毎年10件ほど受任があり、ほぼ、全件に後遺障害等級を獲得しています。 鎖骨の障害は、骨折と肩鎖関節の脱臼に二分します。

 左のレントゲンは鎖骨の骨幹部が折れて偽関節(結局、くっつかなかった)となったもの。右のレントゲンは肩鎖関節が脱臼したもの

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 障害の立証ですが、鎖骨の癒合が完了する頃、レントゲンやCTで癒合状態に変形(曲がったり、太く盛り上がった)や転位(ずれてくっついた)があれば、変形として認められます。さらに、肩の関節に近く、肩の動きに影響を残せば、可動域制限が残ります。 また、癒合が良好でも、痛みが残っていれば最低の14級9号も視野に入れます。秋葉事務所は鎖骨骨折で等級を取りこぼしません!

 鎖骨骨折、肩鎖関節脱臼の診断名から、下表の通り整理できます。表のすべてに認定経験がありますので、画像と診断書をご持参して相談会に参加されたら、認定等級をほぼ予断できます。

 この表、以前もUPしましたが、例外的なケースを除きますが、かなり参考になると思います。

等級

症状・条件

画像所見

外見

14級9号 疼痛の残存
症状の一貫性、信用性が決め手

×

×

12級13号 器質的な変化が残った疼痛
可動域制限がない、もしくは認定基準以下

×

12級5号 偽関節、外見でわかる変形 もしくはピアノキーサイン(鎖骨の出張り)

12級6号 肩関節 4分の3以下の可動域制限
癒合状態に異常、変形、転位あり

×

併合11級 肩関節 4分の3以下の可動域制限+偽関節、外見でわかる変形、ピアノキーサインのいずれか

10級10号 肩関節 2分の1以下の可動域制限
癒合状態に相当の異常、変形、転位あり 又は 肩部の骨折、周辺靭帯等の複合的な損傷

×

併合9級 肩関節 2分の1以下の可動域制限
癒合状態に相当の異常、変形、転位あり 又は 肩部の骨折、周辺靭帯等の複合的な損傷 + 偽関節、外見でわかる変形、ピアノキーサイン

 

○:必須条件 ×:条件とならない