本日の病院同行は、足関節の骨折です。

 初回の相談時に「どこが折れたの?」と質問しても、「足首の骨折です」と返答され、本人も具体的にどこが折れたのかわからないようです。この部位の後遺障害を予断する場合、まず3つを検証します。

1、可動域制限

2、変形

3、神経麻痺

 関節部の骨折はやっかいで上記3つのうちどれか、もしくは3つ全部、障害が残り易いと言えます。そこでさらに踏み込むためには具体的に6つ聞き込みます。

1、脛骨、腓骨、距骨、踵骨のどれが折れたのか?

2、折れた部分は骨幹部、遠位端? 遠位端であれば外顆部、内顆部、それとも前後?

3、骨折の状態は亀裂?開放?粉砕?剥離?、そして固定方法は?現在の癒合状態は?

4、周辺靭帯の損傷はないか?→ MRIを撮ったか?

5、足関節がよく曲がらない?可動域に制限があるか? 

6、制限がある場合

A 痛くて動かない→ 疼痛の残存

B 引っかかり感 → 関節烈隙(かんせつれつげき)=関節の隙間が狭くなった?同時に軟骨損傷あり?

C 力が入らない → 腓骨神経麻痺

 これらの確認からようやく障害を予断します。しかし被害者の全員が私の質問にすらすら答えられるわけではなく、また診断書など資料が乏しい場合、医師と面談する方が早いのでそこで聞き込みます。

 本日の医師と画像を観ながら確認したのは・・・

① 尺骨骨幹部骨折・・・折れ方は横骨折、そして脱臼を伴っていました。プレート固定中、癒合状態良好。

② 脛骨顆部骨折(遠位端骨折)・・・さらに細かく、内顆部&後顆部骨折。ボルトで固定中、癒合良好。

③ 尺骨脱臼のため、脛骨との固定にキルシュナー鋼線を使用。脛腓離解、脛腓靭帯の損傷が疑われる。

← このイラストに近い状態でした
 
 これらの確認が取れました。以上から足関節の可動域制限、とくに背屈がよくありません。ゴニオメーターで計測のところ、2分の1制限です。つまり10級11号を意識した立証作業になります。

 ここまで医師と話ができれば、間違いのない後遺障害診断書にまっしぐら!です。