3、前腕筋群 ・・・肘から手首にかけての筋肉
まず、大きく2つの筋肉の束に分かれます。それぞれ手指の靭帯につながっていますので、基本的な解釈として、「手首をそらす(背屈)、指を伸ばす、広げる」には前腕伸筋群が作用し、「手首を曲げる(掌屈)、指を曲げる、握る」には前腕屈筋群が作用します。これだけを頭に入れておけば足りるように思います。
前腕筋群には正中神経、橈骨神経、尺骨神経が通っており、後日解説しますが橈骨骨幹部骨折などでこれらの神経が寸断、損傷を受けると、手指の可動に障害を残すことになります。
細かく分類すると大変なのでいくつかをピックアップします。
【腕橈骨筋の主な働き】
肘関節において、前腕を屈曲する。前腕を回内する。
【腕橈骨筋の神経支配】
橈骨神経(C5~C6)
腕橈骨筋は、上腕骨の遠位端から、橈骨の遠位端え走行する筋肉で、この一つの骨の遠位端から他の骨の遠位端に走る筋肉は、腕橈骨筋が唯一です。この部位に付着している筋肉は、伸転筋が多いのですが、腕橈骨筋は、例外的に屈曲筋として働きます。肘や手首に負荷が掛かるような動作において、補助的に活動する筋肉です。
② 回外筋
【回外筋の主な働き】
前腕を回外する。
【回外筋の神経支配】
橈骨神経(C5~C7)
回外筋は、外側上顆に付着して、橈骨に付着している筋肉ですが、相対する円回内筋と逆の働きをしています。また、方形回内筋とも反対の働きをしています。例えば、ジャムのビンを開ける際に、右利きの人が右手を使う場合、方形回内筋は、反時計回りに力を加えます。つまり、ジャムのビンを開ける方向に力が加わります。それに反して、回外筋は、ジャムのビンの蓋を閉める方法に力が加わります。つまり、時計回りに力を掛ける時に緊張します。左手で蓋をはずす場合は、逆の方向になります。蓋をはずすのが回外筋で、蓋を閉めるのが方形回外筋(回内する)です。
【円回内筋の主な働き】
前腕を回内する。
【円回内筋の神経支配】
正中神経(C6~C7)
円回内筋は、肘の内側から前腕の外側に付着しています。前腕の外側は橈骨です。橈骨のおよそ近位1/3~遠位1/4あたりに付着していますが、斜めに走行しているので、橈骨を肘の方向に引きつけて、更に屈曲させる方向に、力は働きます。結果として、肘の構造上、回内するのです。
■ 回内、回外とは・・
前腕や手首の骨折、TFCC損傷などで関節可動域に障害を残す場合、下の絵のような計測を行います。正常値は共に90°です。
よく計測方法を間違えられる可動域の一つです
👉 回内・回外の計測
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