二の腕の骨折です。骨幹部は骨顆部(骨の両端、関節部分)に比べ癒着後も偽関節(くっつかない)や変形を残しづらいと言えます。しかし骨折の種類によって油断ならない特有の後遺障害を残すこともあります。
骨折の形態を復習しながら続けます。
わずかな亀裂なら保存療法で済みますが、左図のような骨折となると観血的手術でプレート固定となります。
また、開放骨折(折れた骨が上皮を突き破って露出)の場合も当然に手術療法となります。
保存療法では吊り下げギプス固定(ハンギングキャスト)や肩や肘の動きの邪魔にならない機能的装具が用いられます。
■ 後遺障害
① 偽関節
骨がくっつかなかった状態です。現在の治療水準ではほぼみられなくなりました。
1上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの 7級9号
1上肢に偽関節を残すもの 8級8号
偽関節のため異常可動性を残し、かつ硬性補装具を常時必要とするものが7級で、随時硬性補装具を使用とするものが8級です。
常時(いつも)、随時(例:仕事の時のみ)かの判断は医師が診断時に下しますが、調査事務所は骨折具合や治療経過、使用する補装具の種類等勘案して判断しているようです。
② 変形癒合
曲がってくっついてしまった=A、ズレてくっついてしまった=B、状態です。これも整復技術に問題があったのでは?と思えます。
A 長管骨に変形をのこすもの 12級8号
165°以上に彎曲しての表現が15°以上の屈曲に変更されました。
B 長管骨に回旋変形癒合を残すもの 12級8号
上腕骨が50°以上、外側に回ってくっついた(外旋)、内側に回ってくっついた(内旋)、変形癒合の状態です。
偽関節、変形癒合共、XP(レントゲン)で確認できる事が第一条件です。
骨幹部の骨折で併発する橈骨神経麻痺については明日に・・