先日、仲間の行政書士である山崎先生が、あるところから指摘を受けたようです。「行政書士を批判するようなことをHPで書くのはどうか?」ということらしいです。
確かに同業・士業のことに触れるのはデリケートな問題です。限られた文章では誤解を生むこともあるかと思います。私も常日頃から、同業・他業に向けて積極的に意見展開をしています。もちろん単なる批判ではないことは、文章からご理解頂けると思います。顧客(ここでは交通事故被害者)が安心して相談できる、健全な業界たるべく、その端くれとしての矜持は持っているつもりです。山崎先生もそのような正義感に基づく、業界全体の憂慮を表現しているに過ぎません。
では業界の憂慮についてですが、これは毎回相談会に参加する被害者さんたちの報告からもたらされるものです。これも単なる批判と思わず、少し聞いて下さい。
書面での賠償交渉?はいいとして・・・謎の違約金?
先月、九州の相談者さんからの実話。
地元でも有名な行政書士の先生に交通事故の解決を依頼しました。後遺障害の認定についてはあまり積極的ではないながら、病院も同行して下さり、相手保険会社との協議もしてくれたようです。その後、当方の相談会にいらした理由ですが、まだ被害者請求等、等級認定が進んでおらず、医師との折衝や追加検査が滞り、このピンチをなんとかしたい、とのことです。どうもその行政書士先生は診断書が作成され、保険会社に提出が済むのを待っているようです。したがって等級認定後、賠償金交渉を書面で進めようとしている意図がうかがえます。
賠償交渉の方法は被害者さんが納得すれば、書面であろうと弁護士を使おうと、選択の問題と思っております。しかし、診断書の段階で難渋が続き、何もしてくれない行政書士に困って当方に相談してきたのです。私の仕事は交渉ではなく、まさにこの段階で損害の立証をすること、つまり医証(診断書・検査データ)を取得し、等級を認定させることです。そして交渉は連携する弁護士に一任して進めます。この被害者さんも、このような連携のレールに乗らないと埒があかないのです。
しかしすでに行政書士に依頼しているので、横取りみたいなことはできません。「どの方法を選択するか、誰に委任するか決断してから、再度来て下さい」ということになります。
そして当方に依頼する決断をして下さった際、「ちゃんと先任の行政書士さんに断りましたか?」と聞いたところ、「精算金の請求?」を受けたそうです。この方の場合、弁護士費用特約に加入しているので、そこから相談料や日当を請求するんのだろうと軽く考えていたのですが・・・なんと!80万円も請求してきたそうです。私もびっくりして「一体何の名目か明細書をもらって下さい」と思わず口出しです。明細の内容にもよりますが、こんな無茶な請求では保険会社を怒らせてしまいます。そして既に着手金を支払っていますので、保険会社はもう払いません。80万円は被害者の自腹が確実となります。
翌日、被害者さんはその行政書士に明細を請求したところ、「そんなのありません」との回答です。行政書士に限らず明細=名目のない請求など非常識です。そこで再度、「引き継ぐ弁護士が明細を下さい」と言うよう指示しました。
するとその先生、「えっ!それでは80万円は結構です」と・・・・ここで被害者さんも怒り爆発、「では何のための80万なのか!黙っていれば払わされたのか!」と。
一方、私の怒りは「この不透明な80万円の請求」ではありません。極論すると、被害者さんが納得すればいくらでも良いとさえ思っています。一番の怒りは、
なぜ弁護士が出た瞬間、引っ込めたのか?堂々と請求内容を主張できないのか!
残念ながら、後ろ暗い業務内容と請求を認めたことになります。弁護士の存在に怯えながら仕事をしている交通事故・行政書士の実に多いこと!。つまり違法すれすれである自らの業務を自覚しているのです。
さらに報酬をめぐって不透明なやり取りが頻繁に起こっています。「おかしいな?」と思うやり取りを昨年だけでも4件聞きました。どの業界でもあることですが、曲がりなりにも法律職者がそうでは困ります。報酬自由の原則があるとはいえ、被害者さんが納得していない、もやもやとした報酬支払は常態的なことに思えます。
同業者としてこの先生の告発や実名表記はできませんが、こんなことでは業界全体の信用低下が進むばかりです。真面目に取り組んでいる行政書士が浮かばれません。行政書士が民事業務で活躍するには弁護士を含め、周囲からの信用が欠かせません。特に交通事故業務を行う行政書士には、倫理観が強く問われていると感じます。そのような意味で、少なくとも被害者さんたちに訴え続けていくしかないのです。「間違いのない相談先を選んで!」と。