超自然現象の存在は確かに記録に残っていますし、科学ですべてが解明できていないことは周知のことかと思います。宇宙人、地球外生命体についても、地球人と地球の生物がすでに存在していますので、高い確率で存在しているはずです。ただし、星間空間を通して、それぞれが出会う確率が天文学的に少ないだけかと思います。
さて、幽霊の存在です。肯定派と否定派に分かれ、議論の的になっていますが、現在の科学ではその存在の証明は困難のようです。肯定派の言うことも、昔からの伝承や、個人の体験からだけで、到底、信頼できるものではないと思います。私なりに、その謎に踏み込みたい好奇心は持っています。自ら実験したことを一つ紹介します。
東京湾の各所には、釣りの良いポイントがあります。陸っぱりの私ですが、10数年前、そのポイントに立ち入り、糸を垂らすことが何度かありました。少し足を延ばせば、千葉や茨城にも好ポイントが点在しています。これらは、ガイドブックやネット情報に載っていない、潮巡りが良好な場所です。釣り人同士のネットワークでしか知ることができない場所でもあります。ただし、危険な防波堤やテトラ帯でもあり、高波でもあれば命の危険にさらされます。毎年、立ち入り禁止の防波堤で何人もの釣り師が命を落としている事実があります。やはり、立ち入り禁止は守るべきでしょう。
その情報から東京湾のあるポイント、そこは「幽霊がでる」と、もっぱらの噂です。確かに夜間は人気はなく、不気味な様相をしています。なんでも、釣り人が何人も亡くなっている場所とのことです。幽霊の存在を信じることができない私は、興味本位で幽霊がでたら見たいものだと・・それより春先のクロダイを目当てにそこに糸を垂らしました。それも夜釣りです。
エサ取りのフグに交じって、小型のメバルが上がりました。確かに魚影は濃いようです。足場が悪いので、危険なところ避けています。もちろん、波が穏やかである日と確認済です。波音以外は、夜の静寂だけが周囲を包み、群青色の水平線が漆黒に変わりました。船着き場からは1キロ以上離れており、周囲に人っ子一人いません。頬に湿気を帯びた暖気を感じます。よくお化けがでるときは、生暖かい風が吹くそうです(欧米では逆に冷気らしいです)。そのような、絶好の雰囲気にかられ、周囲を注意深く観察しました。潮が止まって、魚の活性がおちていますので、釣りは一旦休止です。月のない夜、曇りがちで星もまばらです。水面には私ヘッドライトだけがぼんやり浮かんでいます。周囲をキョロキョロ、絶対に何かを見てやろうと。わりと夜目は利く方です。何やら怪しい白い影もでましたが、よく目を凝らすと飛んできたビニール袋でした。他にもよくよく見れば、単なる物影であったり、なかなか神秘に近づくことができません。
粘ったのですが、ついに水平線が明るくなってきました。遠くで汽笛が鳴っています。夜明けと共に潮が上げ潮に変わり、朝まずめを迎えて、35㎝ほどのクロダイが一つ上がりました。この頃合いで、竿を収め、帰宅と決めました。結局、一晩粘りましたが、何も見えず、何も起こらず、このポイントには3度ほど夜釣りで通いましたが、釣果は良好ながら、幽霊についてはすべて空振りとなりました。
結論としては、良い釣り場なので、荒らされないよう(人が押しかけないよう)、幽霊ネタを流布させたと思います。何等かのメリットが無ければ、そのような噂が立つとは思えません。しかし、一個人の、それもたった3回の実証から断定するのは、少し雑と言われそうです。そこで、いわゆる霊感の強い人に、この実証経験について見解を聞くと、「秋葉さんは守護霊が強く、幽霊が見えない」などと、誰から聞いたのかわからない謎理論で説明するのです。もし、その人を現場に連れて行けば、きっと何か見えるのでしょう。よく、霊媒師や祈祷師、お祓いなど、その手の専門家(?)を呼ぶと、必ず「霊の存在がある」と言うので不思議です。「霊を感じなかったので、今日は交通費だけでよいです」とは言いません。お祓い料をしっかり取られるのです。たまには、空振り(霊はいません)があってもおかしくないと思いませんか。
科学で説明、実証できないことは、まだたくさんあると思います。その点、幽霊の存在が絶対ないとは言いません。ただし、生まれてこの方、説明のつかない現象、霊的なもの、不思議な経験など一度もありません。頭から否定せず、信じようと努力はしているのですが、まったく信じていないことは以上のレポートの通りです。