先週の東京相談会は厳しい残暑にも関わらず、8名のご参加を頂きました。参加された皆様、大変お疲れ様でした。毎度のことですが、既に弁護士に相談中、又は契約中のご相談者様が3名もおりました。
 
 いずれも、賠償交渉以前の段階で難儀していながら、弁護士の先生に相談しても埒が明かない、不安が解消できないことから、相談会に参加となりました。つまり、交通事故で困って専門家に依頼したものの、相談先の先生では何も解決できないのです。それは、弁護士が法律の専門家であり、決して交通事故の専門家ではないことを示しています。加えて、この現象は交通事故業界の構造的な問題と考えています。交通事故の解決に必要な作業として、当然に弁護士先生の賠償交渉は必要です。しかし、交通事故は賠償交渉のみですべてを解決できるものではありません。百万遍の言葉を重ねてもわかりづらいと思いますので、8年前に作成した図を使った説明を試みたいと思います。
 

1、交通事故発生から解決までの作業一覧

 1 事故発生から5 解決まで、被害者に課せられる作業です。人身事故を対象としていますので、病院の役割も下段に整理しました。ケガの痛みや入通院の苦難を抱えて、これらの作業を被害者がたった一人でやらなければなりません。ご家族の助けがあるにせよ、初めての事故で混乱することばかりです。だから、相手保険会社の言いなりに進んでしまうのだと思います。なにせ、保険会社は治療費を病院に払ってくれますし、事故車も見に行ってくれますし、休業損害まで払ってくれるのです。被害者にとって、これらは当たり前の事かも知れませんが、本来、被害者自らがきちんと立証書類を突きつけて請求する作業です。電話での感じは悪いながら、大変便利な相手保険会社におんぶに抱っこ・・後の賠償交渉でそのツケ(安い示談金で解決)を払わされることになります。

 実は交通事故の80%以上は、相手保険会社に囲われた状態で解決です。もちろん、その全てがダメとは言いません。多くはそれも省力的・合理的な解決方法と思います。しかし、後遺症が残るような重傷者の方はそうは行かないはずです。

2、大変なので弁護士に依頼した

 生まれて初めての事故、しかも、警察や病院、健保もしくは労災も絡んできて、大パニックです。相手保険会社の担当者も事務的で・・言いなりで進めてしまってよいのだろうか? 不安は尽きなく、ネットで交通事故相談をググって、弁護士相談を繰り返しました。どこも、「交通事故の専門家」「後遺障害に強い」「任せて下さい!」と頼もしい言葉が続きます。

 どこに依頼したらよいのだろう? 迷いますが、近所の比較的、感じのよさそうなA先生に相談、依頼をしました。弁護士費用特約があったので、すぐに契約となりました。しかし、ここからが問題です。健保の使用を病院窓口に断られ、A先生に相談も・・「健保に問い合わせて下さい」。その後、ようやく健保使用になり、第3者行為届けの書類が届きましたが、書き方をA先生に相談も、「早く書いて提出して下さい」の回答です。

 また、別パターンですが、ご自身が加入している保険会社に紹介してもらった弁護士B先生、保険会社の顧問もやっているそうです。ところが、労災の申請手続きでも同じようにB先生に相談も、「労働基準局に書き方を聞いて提出して下さい」との対応に留まります。はて、交通事故に詳しいはずの先生ですが、解決までの具体的な説明もなく、ただ「任せなさい」と・・実はB先生、普段は保険会社の利益を代表して加害者側に立ち、被害者を押さえ込むことを通常業務としています。決して被害者側の専門ではないので、無理も無いのです。

 残念ながら、ほんの一部の先生を除き、ほとんどの弁護士は、図の2 治療では何もやる事はなく、症状固定を待っているのが普通なのです。意識的に「弁護士の仕事は最後の賠償交渉から」と、線を引いている先生もおりますが、実は「どうしたら良いか経験が無いのでわからん」、または、単に「面倒な事務はしたくない」のかもしれません。

 ひどいと、 図の3 症状固定・等級認定の場面でも、「主治医に診断書を書いてもらって、早く、相手保険会社に提出して下さい」との指示だけです。交通事故解決の最初の勝負所である後遺障害の申請に際しても人任せ、実に悠長です。必要な検査が漏れていたり、診断書の記載にNGがあったら取り返しが付かないことになってしまいます。必ずしも被害者請求をする必要がないケースもありますが、交通事故の専門家を名乗る先生が、自ら書類を集積・チェックしないなんて、私達の常識からは考えられないのです。

 要するに、上の図の黄色部分しかやらない、できない、先生・事務所にあたってしまったのです。ホームページの宣伝文句では、何でもやってくれるように書いていましたが、話が違うのです。おまけに電話に出るのはいつも事務の女の子、先生はなかなかつかまりません。折り返しも3日以内にくればいい方です。

 自ら動かず、なんでも相手保険会社任せ、等級が出るまで待っているだけの先生、これでは賠償交渉すら手抜きかも・・さすがに、被害者さんの不安・不信感はマックスです。ここに至って、被害者さんは私共の相談会のドアを叩くことになるのです。

 つづく