連続して、しっかりドラマを観ませんが、この初夏のドラマ評を書きます。日誌のサボりが溜まってきたので、雑談で穴埋めです。
悪徳検察官と一見悪徳だが実は正義のやめ検弁護士の対決を描いた、「アンチヒーロー」が脚本が良くできていて、複線の回収については、最初から丁寧に仕込まれていて納得の作品でした。裁判の様子は、周囲の弁護士に聞いたところ、多少のフィクションは避けられませんが、中々にリアルだったそうです。俳優さん達の演技も素晴らしかったのですが、やはり、初回から最終回まで軸がしっかりした脚本は褒められるべきです。視聴者を引き付けるだけの、急展開や裏切り、どんでん返しを毎回仕込み過ぎて・・視聴者を引き留めようとする事、それ自体を目的としたドラマは白けるものです。
ただし、悪の伊達原検事正、冤罪でっち上げには、やや説得力を欠いたと思います。その動機ですが、証拠が揃わず被疑者の拘留が長びき、メンツ的に引けなくなり、自身の出世に失点となるから、自白を執拗に強要し・・被疑者を犠牲にする。その程度の動機で、冤罪と証拠隠滅の不正に手を染めるかなぁ。ドラマでは最後にバレて、すべてを失うのですから、この程度のミスは自ら破滅するリスクと釣り合うほどの失点ではないと思います。この点が、残念でした。
もう一つ、キムタクの「ビリーブ」。期待の作品でしすが・・。キムタクは何の役をやってもキムタク(これは、ほめています)、今回の役はなんと脱獄囚! 周囲に大物俳優を配し、毎回その群像劇も楽しみでした。この設定は嫌いではありません。
まだ最終回を迎えていませんが、最大の謎は「龍神大橋をわざと崩落させた」理由です。誰が、そんな事をして得をするのでしょうか? この謎が、いよいよ最終回で明らかになります。この事故で人が亡くなり、東京都の莫大な予算が無駄になり、大手ゼネコンは信用を失い・・もはや、設計士キムタク一人の逮捕など、どうでも良い小事です。事故がしょぼい動機で計画されたとは避けて頂きたいものです。もし、ご都合主義の結論であれば、数字(視聴率)だけ取れりゃいい、視聴者を小バカにした制作陣は責められます。なにより、日本のドラマ文化の後退と思います。
かつてない壮大なスケールと主役級の大物俳優を揃えるも、単に視聴者のつかみだけの大振りと、それに見合わない最終回でのしょぼい収束。これは、昨年の「VIVAN」で経験済です。本作では、説得力ある真相解明と大団円を期待したいと思います。
やはり、ドラマはフィクションとリアルのバランス具合でしょうか。そのバランスは観る人によって違いますが。