交通事故で愛車に損害を負い、自分のケガ以上に心を痛める相談者さんがいます。キズ一つつけず大事に乗ってらしたと思います。相手保険会社の対応は原則、現状回復です。つまり修理費をお支払いして終わりです。これは直接損害と呼び、保険会社のアジャスター(調査員)が車と修理箇所を確認にするため修理先に伺い、その修理先からの請求書が水増しや本事故以外の修理が加算されていないか、不正請求のチェックします。不正さえなければこのチェック段階でほとんど話はまとまります。
最近の相談で困ったのは、「車の慰謝料がとれないか?」です。つまりせっかく無キズで乗っていた愛車を修理する羽目になり、心が痛んだ・・ということです。人により色々な考え方がありますので、まずは尊重してお話を聞きます。しかし「気持ちはわかりますが、車の修理での慰謝料を認めた判例は存在しません」と回答します。現実的に生じた費用として、格落ち損害や代車費用、その他生じる雑費について明確な明細書があれば請求できます。これらは間接損害と呼びますが、これすら保険会社は簡単に支払いに応じないのです。代車費用のみは代車の使用事実があれば支払いますが、これも過失が5%でもあれば認めないとはねつけます。
話を戻しましょう。愛車の損害でショックを受けている相談者さんはいくら建設的な解決案を提示しても、感情論に固執してしまい前に進みません。困ったものです。
また格落ち損害も新車からせいぜい3年経過の高級車なら交渉して請求する意味もありますが、登録7年超の小型車や軽で格落ちを請求したい相談者もいます。理論的には修理費40万位で全損となるとして、その30%の12万の格落ち代の請求?しかし判例でも古い小型車の格落ち損害はあまり例がありません。なぜなら裁判で争うような金額ではなく、大がかりな争いになる前に解決しているからです。経験上このケースはかなり頑張った交渉で半分の6万を修理費に加算してお茶を濁します。
そんなわけで私は物損事故のみ、とりわけ小損害の相談案件は受任はしない方針です。この数万の請求の為に相談費用をお預かりするのは恥ずかしいからです。また肝心の賠償交渉自体、行政書士はできません。近年弁護士費用特約の加入者は、自腹が痛まないのでこの特約を使って僅かの請求でも弁護士、行政書士に頼もうとします。
弁護士費用があるから・・・このような考え方で安易に代理人を使う。あまり上品な行いには思えません。
また暮れに偽装事故と思われる被害者が保険会社に修理費の賠償請求を起こしましたが、この不正者(の疑い濃厚)は弁護士費用を使って弁護士をたててきました。受任した弁護士先生の名前は挙げられませんが、法律より社会性を(人を見る)勉強してほしいものです。
※ 弁護士費用特約 参照→弁護士費用特約