本日は5月とは思えない猛暑の中、特急ひたちに乗って水戸へ、移転前の県庁旧庁舎が会場でした。
なかなかに荘厳です
エントランスもまるでドラマの裁判所のよう
毎度、参加者の皆様からのご質問や事例から、こちらも学ぶことが多いものです。素朴な疑問の中に、様々な示唆、ヒントがあります。今回は改めて、「弁護士は事案ごとに選ぶ必要がある」ことを再確認しました。
例えば、損保代理店さんの場合、顧問弁護士、あるいは個人的に親しい弁護士先生に、まずは何事も相談する体制があれば別ですが、多くは保険会社のSC(支払い部門)に紹介してもらうことが普通です。そして、紹介される弁護士は、通常、保険会社の代理人の仕事がメインです。加害者側、つまり、交通事故被害者と対峙する立場です。ある意味、保険会社の支払いをできるだけ少なくするために戦っています。もちろん、不当・過大な請求をする被害者を抑え込むことは、保険会社にとって当然の権利です。
ただし、ただしですが、その弁護士は、普段、保険会社から仕事を貰っている立場です。いざ、被害者側に立って、保険会社相手にガチに戦ってくれるものでしょうか。ここは資本主義社会です。お得意先に牙をむけることになります。この点、心配が尽きないのです。同じ交通事故案件とは言え、それぞれ業務のノウハウだって違います。弁護士によっては、保険会社か被害者か、どちらかの仕事にきっちり特化しています。ただし、地方に行けば弁護士の数が限られ、両方やらざるを得ない事情の土地もあるようです。
また、寝ても覚めても交通事故をやっている弁護士など、実はほんの少数です。ご存じの通り、弁護士の仕事は多枝に渡ります。すべてに精通している先生などいないでしょう。HPを観ると、弁護士事務所ごとに扱い業務は違っており、複数の業務を掲げていますが、すべての業務を網羅しているものではありません。ある業務に特化している先生は、その分野において真のプロと言えますが、まったくやったことのない業務に関してはビギナーに過ぎません。どんな仕事も、得意・不得意があって当たり前です。
したがって、掲げる得意分野を探して、選んで、依頼すべきなのです。病院なら内科・外科と、症状によって各科に分かれていますから、これは当然のことになります。歯が痛いのに胃腸科にかかることはないでしょう。また、医師は「その症状なら皮膚科に行って、紹介状書いてあげるから」と対応、親切に専門分野への誘導がされています。理想は、弁護士も同様に、「交通事故ね、私は専門ではないので、詳しい先生を紹介してあげるよ」・・こうしてくれるとありがたい、誠意ある姿勢と思っています。
15年前に比べ、弁護士の数は2倍になりました。特別な職業、存在であることは変わりませんが、弁護士も選ぶ時代になったと思います。その点、それぞれ得意分野を持った弁護士を多く知っていることが、武器になります。これは損保代理業はもちろん、自動車業、不動産業、介護・・多くの関連企業に言えると思います。
秋葉事務所は、ほぼ100%交通事故業務です。他業務のご依頼、ご相談が来た場合、迷わず専門性の強い行政書士はじめ、各士業の先生に紹介しています。たとえ、そのご依頼が売り上げになろうと、付け焼刃の仕事でご迷惑をおかけしたくないからに他なりません。士業者は、その専門性を活かすことで依頼者ファーストを実現したいものです。相談する側も、盲目的な依頼ではなく、よく吟味して、打合せをして、依頼を慎重にすべきと思います。
仲介する業者に対しても、「弁護士の専門性により注目して頂きたい」・・このように、本日のセミナーをまとめました。