中断していましたシリーズを再開。前回まで 被害者救済業務 を分析 ④

 テーマは 「交通事故業務を保険会社から弁護士の手に取り戻せ!」

 なぜこのようなテーマに至ったのか、交通事故における保険会社vs弁護士の歴史で解説します。  

<1> 交通大戦争

 1974年3月に示談代行付きの自動車保険が販売されました。一番の注目は「示談代行を保険会社がやってくれる」ことです。当時の日本は60年代のモータリゼーションを経て、一家に一台自動車保有が定着した頃です。そして「交通大戦争」と呼ばれるほど交通事故が多発していた時代でした。

 警察庁交通局「平成24年中交通死亡事故の特徴及び道路交通法違反取締り状況について」から事故数の推移を見てみましょう。(↓クリックするとはっきり見れます)

 74年当時の数字を見てください。死亡者数、年間16000人超のピークから12000人まで減少したとはいえ、5000人以下に減少した平成24年に比べすごい数です。もちろん負傷者数や物損を含む事故総数自体も、当時の車の台数約4000万台と現在の約9000万台と比べると異常な件数であることがわかります。  

<2>弁護士vs保険会社

 このような背景から、保険会社の自動車保険の販売促進と内容充実は社会的要請でもありました。この膨大な事故数に対し、当時9,830人の弁護士が担うことには限界があります。ちなみに平成24年は司法制度改革の成果で32088名となり、当時の3倍超となっています。  そのような状況で保険会社は「示談代行付き保険」の認可を求めました。現在では当たり前となりましたが、保険会社が対人事故や対物事故で、加害者と被害者の間に入って交渉をしてくれるのが「示談代行付き保険」です。しかし弁護士会は「弁護士以外が他人の事件に介入し、示談をするのは弁護士法72条『非弁行為』にあたる」と反対したのです。簡単に言いますと、「お金を取って、他人に代わり、示談交渉ができるのは弁護士だけ!」と弁護士法で定められているからです。しかし大量の事故の解決には、保険会社が間に入って交渉するのが合理的なのはわかりきっています。保険会社、弁護士の両者で行政を巻き込み調整作業が行われました。

 

<3>示談代行付き保険、ついに発売、その背景

 法的な解釈論は長くなりますので、ここもざっくり言いますと、「法的に白黒つけず、被害者保護に乗っ取った社会的な公益性を優先させた」決着をしました。弁護士法72条は弁護士の職域を守るものではなく、示談屋さんなど被害者を食い物にする悪い人を排除するのが正当な目的です。だから保険会社さんの示談は悪いことではない・・と解釈が進みます。  そして、保険会社、弁護士両者の調整は以下の制度を作ることによって成されました。まさに現在の交通事故業界を形作るシステム(下線)がこの時生まれたのです。

  ① 特段の支障がない限り、原則として被害者が直接請求権を行使できるものとして、被害者救済の途を開くとともに、これによって、保険会社の当事者性を強く打ち出すこととした。

・・「他人のために」示談をすることがダメなら、保険会社は「保険金支払い義務を負う当事者でもあるので、他人のためだけではないよね」・・・このような解釈とし、違法性から遠ざけます。

 もっとも72条違反を回避する目的での「直接請求権」ですので、現場ではほとんど意識されていません。例えば、加害者が自分に責任がないと思って、自分の契約している保険を使わないと言えば、保険会社の担当者の多くは、「契約者(加害者)が保険を使わないと言ったので、うちは対応できません」としれっと答えます。そのような場合、被害者は「直接請求権」を発動すればよいのですが・・・この議論は本筋にはずれますので別の機会に取り上げます。

  ② 「交通事故裁定委員会」の設立。被害者(または被保険者)に不満が生じた場合に備えて、中立かつ独立の第三者機関である「交通事故裁定委員会」を設立することとした(昭和49年2月27日発足)。この裁定委員会は、学識経験者および弁護士により構成され、被害者等の正当な利益の保護に資することを目的として、自動車保険に関し、保険会社、被保険者および自動車事故の被害者のうち二者以上を当事者とする民事紛争について、無料で和解の斡旋を行うこととしている。  裁定委員会はその後昭和53年3月に「財団法人 交通事故紛争処理センタ-」に改組され、現在では、高等裁判書が所在する8都市(東京、札幌、仙台、名古屋、大阪、広島、高松、福岡)および金沢とさいたまに設置されている。

・・・行政側は保険会社に示談権を与えた(あくまで代行権、代理権とは歯切れ悪いながら区別)、つまりこれは絶大な力です。なぜなら、支払う側の保険会社が交渉上、有利に決まっています。お金を握っているのだから当然です。したがって被害者が保険会社と交渉決裂した場合、駆け込み寺が必要となります。こうして一種のガス抜き機関、紛争センターが誕生したのです。

  ③ 保険会社が顧問弁護士、協力弁護士を一定数、常に契約し続ける。

・・これは明文にされていないので裏協定かな? 保険会社からの仕事は新人弁護士にとって良い収入源となります。

  ①で法的な問題を回避、②で行政の立場から公平性を確保、③で弁護士にも利益を、でしょうか。

難しいことを簡単に説明するのは難しいです。来週に続きます。

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 先日、仲間の行政書士である山崎先生が、あるところから指摘を受けたようです。「行政書士を批判するようなことをHPで書くのはどうか?」ということらしいです。

 確かに同業・士業のことに触れるのはデリケートな問題です。限られた文章では誤解を生むこともあるかと思います。私も常日頃から、同業・他業に向けて積極的に意見展開をしています。もちろん単なる批判ではないことは、文章からご理解頂けると思います。顧客(ここでは交通事故被害者)が安心して相談できる、健全な業界たるべく、その端くれとしての矜持は持っているつもりです。山崎先生もそのような正義感に基づく、業界全体の憂慮を表現しているに過ぎません。

 では業界の憂慮についてですが、これは毎回相談会に参加する被害者さんたちの報告からもたらされるものです。これも単なる批判と思わず、少し聞いて下さい。

書面での賠償交渉?はいいとして・・・謎の違約金?

 先月、九州の相談者さんからの実話。

 地元でも有名な行政書士の先生に交通事故の解決を依頼しました。後遺障害の認定についてはあまり積極的ではないながら、病院も同行して下さり、相手保険会社との協議もしてくれたようです。その後、当方の相談会にいらした理由ですが、まだ被害者請求等、等級認定が進んでおらず、医師との折衝や追加検査が滞り、このピンチをなんとかしたい、とのことです。どうもその行政書士先生は診断書が作成され、保険会社に提出が済むのを待っているようです。したがって等級認定後、賠償金交渉を書面で進めようとしている意図がうかがえます。

 賠償交渉の方法は被害者さんが納得すれば、書面であろうと弁護士を使おうと、選択の問題と思っております。しかし、診断書の段階で難渋が続き、何もしてくれない行政書士に困って当方に相談してきたのです。私の仕事は交渉ではなく、まさにこの段階で損害の立証をすること、つまり医証(診断書・検査データ)を取得し、等級を認定させることです。そして交渉は連携する弁護士に一任して進めます。この被害者さんも、このような連携のレールに乗らないと埒があかないのです。

 しかしすでに行政書士に依頼しているので、横取りみたいなことはできません。「どの方法を選択するか、誰に委任するか決断してから、再度来て下さい」ということになります。  そして当方に依頼する決断をして下さった際、「ちゃんと先任の行政書士さんに断りましたか?」と聞いたところ、「精算金の請求?」を受けたそうです。この方の場合、弁護士費用特約に加入しているので、そこから相談料や日当を請求するんのだろうと軽く考えていたのですが・・・なんと!80万円も請求してきたそうです。私もびっくりして「一体何の名目か明細書をもらって下さい」と思わず口出しです。明細の内容にもよりますが、こんな無茶な請求では保険会社を怒らせてしまいます。そして既に着手金を支払っていますので、保険会社はもう払いません。80万円は被害者の自腹が確実となります。  翌日、被害者さんはその行政書士に明細を請求したところ、「そんなのありません」との回答です。行政書士に限らず明細=名目のない請求など非常識です。そこで再度、「引き継ぐ弁護士が明細を下さい」と言うよう指示しました。

 するとその先生、「えっ!それでは80万円は結構です」と・・・・ここで被害者さんも怒り爆発、「では何のための80万なのか!黙っていれば払わされたのか!」と。

 一方、私の怒りは「この不透明な80万円の請求」ではありません。極論すると、被害者さんが納得すればいくらでも良いとさえ思っています。一番の怒りは、

 なぜ弁護士が出た瞬間、引っ込めたのか?堂々と請求内容を主張できないのか!

 残念ながら、後ろ暗い業務内容と請求を認めたことになります。弁護士の存在に怯えながら仕事をしている交通事故・行政書士の実に多いこと!。つまり違法すれすれである自らの業務を自覚しているのです。  さらに報酬をめぐって不透明なやり取りが頻繁に起こっています。「おかしいな?」と思うやり取りを昨年だけでも4件聞きました。どの業界でもあることですが、曲がりなりにも法律職者がそうでは困ります。報酬自由の原則があるとはいえ、被害者さんが納得していない、もやもやとした報酬支払は常態的なことに思えます。

 同業者としてこの先生の告発や実名表記はできませんが、こんなことでは業界全体の信用低下が進むばかりです。真面目に取り組んでいる行政書士が浮かばれません。行政書士が民事業務で活躍するには弁護士を含め、周囲からの信用が欠かせません。特に交通事故業務を行う行政書士には、倫理観が強く問われていると感じます。そのような意味で、少なくとも被害者さんたちに訴え続けていくしかないのです。「間違いのない相談先を選んで!」と。

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 もう一度この特約の約款をみてみましょう。(T社)

第2条 (4)この特約において、弁護士費用および法律相談費用とは下表のとおりです。

①弁護士費用 あらかじめ当社の同意を得て弁護士、司法書士、行政書士、裁判所またはあっせんもしくは仲裁を行う機関に対して支出した弁護士報酬、司法書士もしくは行政書士報酬、訴訟費用、仲裁、和解または調停に必要とした費用 ②法律相談費用 法律相談の対価として弁護士、司法書士または行政書士に支払われるべき費用

 どこの会社もこの定義とほぼ同じです。払われるのは訴訟・仲裁・和解・調停に必要な費用、相談費用です。対象は弁護士、司法書士、行政書士、裁判所、斡旋機関です。かなり広範囲のようです。しかし「あらかじめ当社の同意を得て」と条件がありますので、支払い担当者の解釈で支払い範囲が広がったり、縮まったりします。実際、その保険会社の解釈というよりは、担当者の解釈で支払いOKだったり、ダメだったり・・・統一された解釈がないようです。    このような環境下、弁護士、行政書士が常識的な請求をしていれば、おのずと保険会社の支払い基準、相場が固まってくるのが健全な姿と思います。しかし、法律事務所のHPでは「弁護士費用のある方」、「弁護士費用のない方」と二重表記が目立ちます。その分け方に、商売上の理由が露骨に見える事務所があります。これを保険会社は想像以上に問題視しています。

 そして、某社の担当者から「当社としてはA事務所に対し、弁護士費用の支払いはしません」との宣言!

 A事務所は保険会社を甘く見た報いを受けました。そして保険会社の体質を知らないことが、さらなるペナルティを受けることになります。かつて護送船団方式で全社、同じ約款、同じ掛け金であった体質の名残でしょうか、この保険会社の対応は、他の会社にも飛び火します。少なくとも国内大手の保険会社から、同じ対応をうけることが予想されます。外資系通販は同調しないと思いますが、もともと弁護士費用の支払いを渋る体質なので・・。

 私が心配していることは、A事務所だけの対応に留まればよいのですが、真面目な請求をしている他事務所にまで厳しい目を向けられることです。

 最近はLAC(日弁連の弁護士紹介機関)を受け皿とし、そこでの弁護士費用の基準・相場を多くの保険会社が推奨しています。なんとか弁護士費用特約と弁護士の関係存続は大丈夫と思います。しかし、今のところ行政書士会ではそのような申し合わせはありません。政治力から考えても、行政書士は約款から外れ、排除の危険性があると思います。

 B保険会社などは「行政書士は法律相談費用(10万円限度)のみ!」と請求内容の妥当性など無視、ヒステリックにまで行政書士の業務を否定しています。

 これはズルい請求をする法律家さんたちが招いた、自業自得かもしれません。

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 先日、仲間のMC山崎先生から情報をいただきました。それはある保険会社の担当者さんが弁護士費用特約の支払いに対し、厳しい目を向けざるを得ない、不届きな法律家さん、事務所を名指しで挙げたことです。以前にも記事に取り上げましたが、「保険会社の特約があるのだから・・・」と無茶な請求、アンフェアな請求をする弁護士、行政書士が少なからずいるのです。 困ったものです。

 

弁護士費用特約が出なければ、後は保険会社に文句言ってね

 これはある行政書士事務所の対応ですが、被害者に弁護士費用特約が使えます(使える可能性があります)と言っておきながら、費用が出なくても責任は取らない、やり方です。

① 契約の際は「弁護士費用特約で私どもの報酬はまかなえますので」と言います。被害者は迷わず「お金がかからないなら!」と即断、契約します。

② 仕事の完了後、相手が保険会社なのだから・・と普通より高額の請求をします。

③ 保険会社が支払いを渋ると、

④ すでに委任請求(被害者に代わって請求しますので、自賠責保険金を事務所口座に振り込ませています)で保険金を握っていますので、そこから報酬を抜き取った差額を被害者に支払います。その際、「保険会社が払わないのが悪い、うちには責任ありません」の姿勢。

⑤ すると弁護士費用特約から費用が出ると思っていた被害者は怒り心頭、保険会社に文句を言います。

⑥ 保険会社にしてみれば、「当社の許可なく勝手に行政書士と契約された内容」など、守る必要はありません。

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 力の入ったシリーズ、交通事故業務に関わる業者にメスを入れる文章は疲れます。  例えるなら火中の栗を拾うような作業ですので、手は火傷でケロイド状です。

 さて、毎日のように法律事務所や仲間のMCから質問の電話・メール、診断書・画像鑑定などの依頼を受けています。信じられないと思いますが、これは全部「無料」、お足をいただいていません。もちろん被害者からの初回相談もそうです。

 資格を持つ士業はその専門業務のやり方、ノウハウで食べています。市販のマニュアルはあくまで基本知識で、実際の業務は実務知識・ノウハウがないと仕事になりません。するとそれらを門外秘扱いとし、その伝授に「研修費」、「高額なマニュアル販売」などで同業を商売相手にしている先生が大量発生します。それは行政書士に顕著です。イソ弁など先輩事務所に弟子入りして仕事を覚える弁護士と違い、行政書士はほとんど求人がありません。新人書士はお金を払って伝授を乞うしかないのです。

 翻って私たちのチームですが、交通事故被害者を救済する知識、ノウハウを売り買いする事に違和感を禁じ得ません。なぜなら、その知識やノウハウで救われる被害者を想像してしまうからです。他の法律家と契約した被害者さんであっても、「間違った方向へ行って欲しくない」一心です。  対して、知識・ノウハウを秘匿して、高いお金で売る=同業者から収益をあげる・・・そんなセコい精神で仕事をしたくはないな、と思うのです。

 例えるなら私たちが科学者チームとします。世間ではコレラが大流行しました。苦心の末にワクチンの製造方法を開発しました。急ぎ患者に渡す必要があるのに、それを製薬会社に高額で売ります。製薬会社は患者にさらに利潤を載せて売ります。結果として人助けが階層ビジネスになるのです。ワクチンを欲する人より、まず商売、商売・・・どう思います?

 私たちにとっての「コレラの大流行」は「現在の保険会社独り勝ちの交通事故業界」なのです。(保険会社さん、例え悪くてごめん!)

 そう考えると眼前に道は開けてきます。 

 被害救済の志をもって仕事をする方には、お金なしで教えます。

 その対価は、被害者救済のために一緒に歩んでいただきたい、それだけです。

 いつでも多くの同志、仲間に門戸を開いています。

 ただしお金だけを見て仕事をしない、誠実、真面目な人だけですよ。

 なぜなら、ほんの少しのノウハウだけパクると、離れていく人が多いので・・・

 (HPでレントゲン、骨モデルやミニカーを出している弁護士・行政書士です・・・商魂たくましいです。ちゃっかりしています(笑)。しっかり被害者救済に役立て下さいよぉ!)

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 昨日の記事には少なからず反響をいただきました。

 「そんなことはない!」と弁護士から反論が来ると思っていましたが、まるで逆で、「痛いところを突いてくるなぁ」、「その通り!よく言った!」とおおむね共感する意見です。被害者救済を根幹に置いている弁護士先生には清々しい物言いに聞こえますが、複雑な心境の先生もいらっしゃると思います。この手の議論で迷ったら私たちのチームはこう考えます、

 「それが被害者のためになるのか」

 被害者救済をスローガンにする限り、答えは明らかです。色々な考え方があっても決してブレません。     ではテーマを変えて行政書士の書面交渉も検証してみます。

書面による賠償交渉は適法or違法?→ 有効or残念?

 10年前より多くの行政書士が交通事故業務に参入しています。昨日の議論「事前認定か被害者請求か?」について言えば、大多数が被害者請求を推奨しています。さすがに「事実証明」が仕事なので、まさに等級認定業務はそれにかなうものです。  しかし少なからず違った業務を主としている先生もおります。それは等級が認定されてから相手の保険会社と交渉をしている先生です。被害者請求すらせず、事前認定で等級認定作業を相手保険会社に任せて、等級がでたらそれをもとに裁判基準で賠償金請求書を作成、保険会社に提出する作業です。私なら30分でできる作業です。いやいや中には凝った先生もおり、様々な判例やデータを添付し、良い仕事をするなぁと感心することもあります。                        もちろん直接、保険会社の担当者と顔を突き合わせての交渉は「代理行為」なのできません。紛争センターなどの斡旋機関でも同席できません。被害者の「代理行為」ができるのは弁護士資格をもつもののみだからです。では書面作成だけなら代理行為(交渉)ではない?このような議論になります。多くの弁護士会の見解では「たとえ書面作成であっても実態上は賠償交渉ではないか?」と厳しい目をむけております。

 さてこのような議論を前に、私の見解はこうです。

 「それが被害者のためになるのか」

 難しい法解釈は学者先生に任せるとして、被害者救済の最前線の実働部隊である私たちは、書面による交渉など「生ぬるい」と感じています。なぜなら、最初から被害者に寄り添い、損害の立証作業を積み重ね、適正な後遺障害認定へ導くことが一番大事と考えています。そしてもう一つ大事なことである賠償交渉においても、連携弁護士による裁判・紛争センターを前提とした強交渉で良い結果を量産している事実があります。

 ここで、某大手保険会社の担当者Ζさんの本音を、

 「あくまで被害者本人との交渉では、いくら書面で裁判基準を要求してきても、『相対交渉なので自社基準でしか払えません』と、突っぱねます。まぁ少しは上乗せしてあげますが。」

 そこで行政書士が被害者と同席して交渉に臨んできても、

 「被害者との交渉で、相手に行政書士が入ってきて話をするのはある意味、楽です。なぜなら弊社の提示額と赤い本(≒裁判基準)の中間くらいで手を打ってくれますので。もし赤い本基準の満額要求で引かなければ、『先生、これ以上の交渉は非弁行為ですよ』と言えば引っ込みますので(笑)」

 とまぁ、実態はこのような体たらくです。(担当者喜ばせてどうするのよ!)

 ここで保険会社と被害者置き去りの妥協的解決を図るか、紛争センターに持ち込むかの選択となります。紛争センターでは被害者一人を交渉に向かわせ、ここでも書面だけ渡して、先生自身は廊下で遠隔操作です。以前も取り上げましたが、こんな中途半端な方法で満足のいく数字は取れませんし、このようなサポートに被害者から多額の報酬を取ることに疑問が残ります。

 ここで、紛争センターの斡旋弁護士の本音を、

「僕が苦労してあなた(被害者)のために保険会社から弁護士基準の賠償金を交渉してあげているのに、なんで計算しただけの行政書士に何十万も払うの?その報酬は払う必要はないよ!」。

 とまぁ、実態はこのような体たらくです。書類を持たすだけで「増額は行政書士の(仕事の)おかげ」と見せかけて、成功報酬を得る、これはズルいと思われています。  このような周囲の厳しい監視から、行政書士は賠償交渉の場面に、こそこそ介入するしかない立場なのです。  もちろんごく少数の被害者に「自ら交渉をしたい、書面、資料だけサポートしてほしい」というニーズもあります。しかし保険会社はそんな甘い存在ではないことを認識してほしいと思います。紛争センターでも徹底的に争う姿勢が大事です。ここでダメなら訴訟をも辞さない気概を示さねばいい数字は獲れません。これは有能な弁護士により成し得る交渉です。

 昨日、今日と同業批判のような記事になってしまいましたが、誤解しないで下さい。自由経済では書面作成や交渉も経済活動の一つに過ぎません。違法でなければどのような解決方法でもニーズがある限り、私ごときが口をはさむ問題ではありません。

 しかし被害者は情報過多の中、しっかり解決方法を吟味し、ご自身にとって最適な専門家を間違わずに選択してほしいと思っています。だからこそ包み隠さず、関係者の本音をあえて披露しました。

 これから誰に交通事故の解決をゆだねるのか?しっかりと見極めて下さい。

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 本日は高次脳機能障害の神経心理学検査の結果を主治医に提示し、確定診断を仰ぐために医師面談を行いました。珍しく弁護士先生と同行しました。そこであることを思い出しました。

 以前、高次脳機能障害をテーマとした弁護士向け研修会で、ある弁護士からご質問をいただきました。

Q 「神経心理学検査の検査結果は絶対的な判断基準にならないのではないか。検査の数値が証拠として裁判上それほど重視されないのではないか?」  高次脳機能障害の神経心理学検査は、記憶・記銘検査、知能検査、遂行・注意能力検査等、様々な角度から患者を観察します。これらの検査数値はいずれもケガをする前の検査数値と比べ、その劣化を確認する必要があります。当然ながら知能指数など個人差がありますので、年齢別平均値と比べるだけでは正確な知能の低下が測れません。ましてやケガの前にこのような専門検査を受けている方などほとんど存在しません。

 したがって前述の弁護士の言うとおり、「絶対的な証拠価値はない」・・・ひとまずこれが正答です。

 では、逆に質問ですが、目の前の依頼者の障害立証に対し、この弁護士はどのように戦うのでしょうか?

 以前、30ページに及ぶ弁護士の作成した”高次脳機能障害裁判の陳述書”をみたことがあります。弁護士から被害者を丁寧に観察し、意見をまとめたものです。文章の内容は「私の見るところ、被害者は明らかに事故後、異常となった。医学書によると、云々・・・」が主張されています。しかし弁護士の意見と言えど、医師でもない専門外の第三者の観察に過ぎません。頑張って主張しても、患者家族の「日常生活報告」以下の判断材料にしかなりません。このような陳述書では確実に負けます。

 高次脳機能障害で成果を上げている弁護士は、当然ながら充実した医証を収集しています。各種の検査結果とそれに対する医師の診断書、意見書、それらを添付した資料、陳述書を山盛り用意します。

 高次脳機能障害のような繊細な障害の立証は、ある検査結果のみをもって「障害の有無」を判断するものではありません。自覚症状(家族の観察)、それに合致する神経心理学検査の結果、対応する受傷部位が明らかな脳の画像、そして専門医の診断、これらを矛盾なく一致させること、一つの線とすることが肝要です。この作業を記憶、知能、遂行能力等、障害のある部分ごとに丁寧に検証していきます。これが立証作業です。緻密な情報の積み重ねによって、自賠責調査事務所や裁判官のような第三者に障害の有無・程度を納得してもらうのです。

 絶対的な証拠となる近道はありません。したがって先の弁護士に対する回答は「絶対的な証拠など元々ありません。しかし相対的には重要な役割となります。」となります。続けて「では検査結果(武器)も無しに、どうやって主張する(戦う)のですか?」と逆質問になってしまうのです。

 「弁護士を丸腰(医証なし)で戦場(裁判)に行かすわけにはいきません!」

 ・・・これが私の結論です。

 私たちMC(メディカルコーディネーター)の仕事を認知している弁護士事務所は医証という武器の調達に余念がないので、良い戦いを展開しています。  逆に医療立証の重要性に理解が及ばない弁護士の場合は・・・最初は意気揚々と保険会社と交渉に入ります。しかし相手保険会社の顧問弁護士、顧問医が用意する、(障害を否定する)意見書に立ちふさがれて、真っ青になって妥協案の回答を持ち帰ります。そして被害者に「ここで矛を収めた方が得策だ」と説得に入ります。何のために弁護士を入れたのか?これは事実上、負け以下の「戦闘放棄」です。これが交通事故交渉の多数例、実態です。依頼した被害者は浮かばれません。                                            私たちが連携する弁護士はしっかり戦います。今日武器調達に同行した弁護士先生も然りです。                      

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 弁護士、行政書士、様々な士業がホームページで全国対応を謳っています。弁護士事務所で各地に支店を置いている大規模法人なら看板に偽りなしです。個人経営の事務所は割と地域に根差した経営範囲です。しかしどうも代書業がメインとなる故か、行政書士事務所は全国対応を可能とするようです。

 弁護士の委任契約は面談を必須としています。クレサラ業務の場合、一時、電話だけで打ち合わせし、委任契約を結んでいく手法が問題視され、改正指導されたのは記憶に新しいことです。やはり面談契約は契約上、倫理面の担保として必要な仕事です。これは交通事故業務でも強く感じるところです。

 被害者の中には詐病を装う者、ケガというよりは心因性に疑いのある者、または独特の思想に凝り固まった者など、問題のある依頼者も少なくありません。肩入れしてはいけない被害者もいるのです。それらの被害者に一地域の交通事故を扱う事務所が、「全国対応します」と言葉通り対応してしまうのは心配です。最近の相談者でも色々と問題のある方でありながら、ある事務所が面談もせず、文章対応で業務を行っていたことを知りました。資格を持つものとしての倫理観が問われます。

 では全国対応はどうすれば可能なのか? 

 私たちはそれを、士業の垣根を超えた全国ネットワークと全国規模の相談会にて挑戦中です。

 私達メディカルコーディネーターは全国に11人、まだまだ少ないですが主要都市のカバーは進んでいます。そしてなにより連携・協力弁護士事務所が全国規模で続々と参集してきています。どの地域の相談者・被害者でも最寄りの事務所に紹介が可能です。  そしてついに、今月より北は北海道から南は九州まで「全国縦断出張相談会」を実施します。

 先日の研修会でも九州の弁護士先生からご質問を頂いたり、関西の弁護士先生と情報交換したりと、全国規模の被害者救済ネットワークが構築され、仲間意識のレベルで熟成が進んでいます。これが研修会のもっとも大きな成果とさえ思っています。

 この調子でいきます!  研修や相談会で培った協力体制をより前進させ、来年には一歩進んだ形を打ち立てたいと思います。 

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 レポート遅くなりました。先の土日、交通事故・後遺障害研修の3日目、4日目が行われました。

 上肢のケガ、下肢のケガを2日間にわたって集中講習です。骨折や神経麻痺の立証、そして関節可動域については実演・実測を経験していただく実践的な内容です。4日目は関節の手術で全国的に有名な専門医の講義が目玉となりました。

           今回も全国からMCの仲間が集まりました。  細田先生より、股関節の障害について発表。

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 最近、弁護士事務所からの問い合わせが増えました。多くの弁護士は交通事故事件に取り組みながら、後遺障害認定にまつわること、医証の獲得、異議申立、相談者への初期対応などの課題に悩まれているようです。

 なかなか法律論では解決できないことが多く、また医療知識はあまりにも専門的な分野です。しかしその対応こそが私たちメディカルコーディネーターへのニーズです。

 例えば、自身のケガなので、数か月にもわたりネットや本で調べた被害者が相談にやってきます。

 「先生、橈骨尺骨の骨幹部骨折後、橈尺骨の離解を主治医から懸念されています。後遺障害はどうなるのでしょうか?」

 これにすらすら答えなければ信頼は得られません。実際に某弁護士事務所で「それってどこの骨?」って聞き返されて失望した被害者さんもいました。やはり弁護士先生とはいえ、医療全般に精通しているわけではありません。数か月勉強してきたた被害者さんの知識が上回ってしまうのです。

 ここで専門性を身に着け交通事故に特化するか?それともあまりにも専門的な対応が必要であれば、外部に連携するか?このように判断が分かれます。あるいは、某事務所は基本知識の習熟を進めながらも、上記2方針を併用し、事案ごとに使い分けて相談者の信頼をキープしています。このように柔軟かつ、徹底した専門家対応によって、被害者は安心・納得をもって解決への道を進みます。    つまり連携の最大の受益者は被害者に他なりません。

 週末は弁護士研修会です。よい出会いを期待しています。

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③ 自賠責対象外車両の事故に関する紛争

 自賠責対象外車両?・・自衛隊車両とか? 最初このように思ってしまいましたが、これはおそらく自賠責保険からの回収ができない車両、具体的に言いますと、「自賠責保険に入っていない車(これはほぼ無車検車)による事故」、「自分が一方的に悪く、相手から賠償金が得られない事故」のことではないでしょうか。私の経験では無自賠責加入車はほぼ無車検で、かなりの犯罪者である傾向が強いです。また短期入国の外国人が運転しているケースも多く、回収絶望的な事故ばかりです。果たしてADRにこのような人たちが出てくるのか、さらに斡旋案に従うのか、そして回収などできるのか、かなり難解な事案です。これこそADR同席の弁護士先生に頼りたいところです。そして自分が100%悪い事故の場合、相手に対する請求を斡旋機関に頼るケースなどほぼないと思います。また、「自らの過失は100%ではない、相手にも過失があるはずだ!」と主張する場合も、訴訟前提で進めないと埒があきません。

 このように実効性や実現性に疑問ばかりで、実際どのような場面での適用を想定しているのかわかりません。後日ADR設立に関わった行政書士先生に聞いてみたいと思います。

 もし、自賠責が支払われる、つまり回収の見込みのある案件は、自動的に同席の弁護士が持っていき、回収不可能な案件は引き続きADRで話し合って、としたら・・・弁護士に利益がありますが、行政書士会はほぼボランティアとなります。先の物損事故、自転車事故もそうですが、「弁護士が利益とならない事故」はADR、「利益が見込めるもの」は弁護士が持っていく・・・ADRはそのための選別機関?うがった解釈をする人もでてきそうです。

 現状、自賠責保険の請求代理は行政書士に認められています。しかし一部の弁護士の見解では自賠責保険の代理請求行為も賠償交渉であり、損害賠償における代理行為の一環である、と主張しています。おそらくこの勢力は「ADRで”自賠責対象外車両の事故に関する紛争”は行政書士(のADR)としているではないか」その反対解釈で「自賠責保険が関与すれば弁護士の独占業務である」と理論武装してきそうです。

 つまり交通事故業務を扱う行政書士が眉をひそめる項目なのです。

 もっともこの項目からの斡旋申請者は少なく、何も問題はないと思いますが、私には行政書士会が自ら業際線を引いてしまったと思えてなりません。  私もこの分野の勉強が不足しています。引き続き、他の行政書士、弁護士先生から実情を聴取していきたいと思います。

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 ADRシリーズが未完だったので続けます。

交通事故

・物の損壊に関する紛争

・自転車事故による紛争

・自賠責保険対象外車両の事故に関する紛争

※ 埼玉県内において発生した交通事故に限る

 交通事故における死亡事故発生件数は、ここ数年下降線です。しかし物損事故は相変わらず微増状態です。また後遺障害の申請・認定件数も微増となっています。すなわち交通事故を解決する機関、代理人はまだ必要とされています。これも比較的損害が小規模の事故であれば、時間、経費の点から裁判や弁護士による交渉などは馴染みません。当事者間の示談、もしくは斡旋・仲裁機関の活躍が望まれます。そこで相続や離婚などに続き、交通事故もADRの扱い項目に加わりました。

 しかし相続や離婚と多少印象が違うように思います。それは相続や離婚と違い、交通事故の解決に「保険」が関与するケースが多いからです。3項目を一つ一つ見ていきましょう。

① 物に関する紛争

 物損事故ですね。これはそのほとんどが任意保険会社の対物賠償保険で解決を図っているのが現状です。任意保険の加入率は約80%です。そこから漏れた紛争、もしくは保険会社の関与で解決できなかった紛争が対象でしょうか?となると加害者の支払い能力と斡旋の強制力が問題となります。簡易裁判所の調停ですらこの分野には30%を切る成立率です。それはやはり加害者に資力がなく回収できない場合や、斡旋案の拘束力がないためどちらかが席を蹴っておしまいとなるケースが多いからです。

お金のない加害者にどうやって修理費をださせるか?斡旋案が公の認証を受けても、相手から回収できず、空手形となっては意味がありません。また、任意保険会社熟練の交渉でも解決できない案件にどう立ち向かうか?これは大変難しい斡旋となるはずです。

② 自転車事故に関する紛争

 近年、高齢者の被害事故が増えている中、高齢者の自転車搭乗中の被害事故も当然増加しています。この分野をあえて自転車の加害事故と読み替えます。自動車が絡めば自動車保険の問題に戻るからです。  まず関係する保険は個人賠償責任保険が対象となりますが、この加入率は自動車任意保険より低いですが、相手が加入していれば回収の目途が立ちます。10年前と違い、個人賠償責任保険もある程度の示談代行を保険会社がやってくれます。しかし保険未加入の場合、ADR、斡旋機関の出番の一つと成り得ます。

③ 自賠責対象外車両の事故に関する紛争

 ここが最大の問題点と思います。少し長くなりますので明日に続きます。

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この連休は弁護士向けの「交通事故・後遺障害 実務講座」でした。今回も日本全国から50人近くの弁護士先生が集まりました。

 ボーン君達も勢揃い!

1日目

1、交通事故の現状について

2、外傷性頚部症候群

3、ヘリカルCTの優位性  特別講師W医師

 初日はイントロダクション、交通事故を取り巻く環境と弁護士の取り組みについて宮尾先生より講義がスタートしました。

 今回は被害者面談のロールプレイングビデオを作成、上映しました。神戸のMC佐井先生、藤井先生の演技力もなかなかです。

   恒例のむち打ち講座では亀井先生の腱反射テストの実演が挿入され、なるべく多くの弁護士先生に実際に腱反射テストをやっていただきました。やはり実技が加わると座学研修も盛り上がります。 続きを読む »

離婚、相続分野について

・離婚時の離婚給付(財産分与、慰謝料)に関する紛争

・離婚後に生じた離婚給付(財産分与、慰謝料)に関する紛争

・遺産分割協議に関する紛争

これは今まで行政書士が行ってきた業務をなぞるようにADRの対象となりました。離婚も相続も膨大な件数が発生します。これらのほとんどが、厳密な法的判断を必要としたり、高額の慰謝料の争いとはならないものです。当事者間の話し合いで解決するのが理想です。しかしそれはそれでもめ事、冷静な第3者の仲裁、助けがないとまとまらないものです。ADRの本丸はここかもしれません。

 今までもこの分野に多くの行政書士が介入してしてきた事実があります。代理権を持たない行政書士が有償で離婚や相続の解決に乗り出すこと自体、弁護士法72条「非弁行為」(弁護士以外は代理人として有償で交渉してはいけない)に抵触するといった解釈があります。交渉を伴わず、文章作成にとどまる業務であれば、行政書士でもOKとの認識もあります。しかし当事者の間に入って説明・説得という場面は常に生じやすく、厳密な法解釈は実情にそぐわないと思います。やはり代理交渉までいたらずとも、それなりの介入が望まれます。だからこそ、このグレーゾーンというべき民事部門に行政書士が関わるなら、紛争性を帯びた瞬間にADRの利用、弁護士への連携という流れが適切かつ自然であると思います。  つまり常に紛争化の危険をはらむ民事業務について、ADRは行政書士で完結できる流れを作り出したといえます。

賃貸借について

・居住用賃貸借建物の敷金の返還に関する紛争

・居住用賃貸借建物の現状回復に関する紛争

簡単に言うと”大家と店子のもめごと”です。アパート退去の際、「敷金の返却が少ない!」、「クロスや畳の取り換え費用を請求された!」など頻繁に起きる問題です。近年、仲介業(不動産屋さん)に対して、賃貸借契約の約款をわかりやすく明示すること、事前説明の徹底について厳しく行政側は指導をしています。私も最近物件を借りる時、不動産屋さんの担当者から丁寧な説明を聞いて、それを実感しています。  さらに敷金というしきたりも、もはや都市圏では下火、どんどん無くなってきています。さらに修理費についても法的解釈がはっきりしており、「畳やクロスの日焼けは自然劣化であり、店子の現状回復義務(元通りにして退去する約束)には入らない」となっています。  それでも特に地方では古いしきたりや、ルールの不徹底から、賃貸借にまつわる紛争は少なくありません。この問題も一つ一つ司法判断に頼っていくには数が多すぎます。当然ながら、争うお金の額からも裁判には馴染みません。第三者の仲裁・斡旋で解決することが適切です。簡易裁判所の調停や少額裁判という方法もありますが、行政書士に相談が持ちかけられることが多い案件でもあります。なにせ全国に4万人以上も行政書士がいるのです。紛争化した時の受け皿(ADR)があってこそ、積極的に相談が受けられる土壌ができたといえます。

 時間が無くなってきたので「交通事故」は明日に

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 昨夜は全国のMCとスカイプ会議でした。集合せずとも、様々な議案について同時に意見交換ができるので便利です。  それぞれ地域、環境が違う中、抱えている問題にも若干の温度差を感じました。その中で各地の行政書士会が推進するADRに話題が及びました。

 ADRとは「裁判外紛争解決手続」の略で、訴訟社会のアメリカでは広く知られています。アメリカは桁違いに訴訟が多く、裁判所の渋滞を防ぐため、軽微な紛争はこのような斡旋・仲裁機関での解決が必要とされています。これの日本版を行政書士会が認証機関となり主宰するのです。つまりもめごとの解決を当事者がADRに申し込み、そこで話し合いがなされ、合意された内容を公に認めるものとする働きをもちます。

 司法制度改革の一貫でADR法が制定されて以来、各地の行政書士会が続々と組織を立ち上げています。私の所属する埼玉会でも「行政書士ADRセンター埼玉」がこの夏、発足しました。奔走された諸先輩方には頭の下がる思いです。

 内容は民事部門で4つに整理されています。早速みてみましょう。

離婚

・離婚時の離婚給付(財産分与、慰謝料)に関する紛争

・離婚後に生じた離婚給付(財産分与、慰謝料)に関する紛争

※ 未成年の子供がいる夫婦の離婚は除く

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 メディカルコーディネーターとして活躍する仲間がまた一人増えました。

 私たちの最大の資産は全国で得られたノウハウや実績です。そしてそれらを共有し、被害者救済に活かしていることです。  多くの仲間を欲していますが、生半可な人材登用はしません。厳選されたタレントを求めているのですが、志ある有為な人材はそう得られるものではありません。しかし、このたび帰化申請において関西で抜群の実績を持ち、被害者救済に対して熱意をもって猛勉強中、藤井先生が加わりました。    ご覧のとおり美人です。しかも能力も根性も並大抵ではありません。東京の相談会参加のため、毎週のように上京し、一緒に机を並べて勉強してきました。  神戸を本拠地としていますので、ヤンエグ(死語?)佐井先生と共に多くの被害者を担当していくと思います。

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 裁判所へは久々です。入り口から鳴り物入りの裁判の傍聴のため、マニア?の列がありました。やはり地裁でも東京は物々しさが違います。

 案件を弁護士に引き継いだ後も、書類の収集等で被害者さんと弁護士の間をつなぐ仕事は続きます。この被害者さんとも、もうすぐ2年の付き合いです。この裁判は後遺障害の有無、程度を争うもので、医学的な証明も含め非常に長く、難解な審議となっています。初期にしっかり後遺障害の認定がなされていれば、このような苦しい戦いを避けられたはずです。

 受傷時に救急車で運び込まれた場合、病院は選べません。しかし早い時期に間違いのない治療及び診断ができる病院へ行かないと、後遺障害の認定まで悪影響が続きます。本件はその最悪例と思います。被害者も最適な治療先に落ち着くために、主体的に動く必要があるのです。そしてその助力をすることが私たちMCの仕事でもあります。

 交通事故の解決はまず弁護士が浮かびます。しかし交通事故を専門に、もしくは精通している弁護士に巡り合わなければ、おざなりな結果を招きます。しかし行政書士やメディカルコーディネーターが前面に立って「交通事故の解決は私たちに!」と訴えても被害者のほんの一部にしか声は届きません。多くの方は弁護士に相談します。それが重篤なケガであったり、難しい交渉が必要なものであれば当然のことです。やはり現在推し進めている弁護士との連携、共同受任体制が現実的です。

 「立証」と「賠償」という交通事故の2大局面に対し、弁護士がメディカルコーディネーターを上手に使いこなしていくことが理想です。しかしまだまだ多くの弁護士がその有用性に気付いているとは思えません。アプローチをするべき対象は被害者だけではないのです。受傷直後から担当し、MCを寄り添わせること・・・これができればこのような厳しい裁判をせずに済んだのです。引き続き、「受傷初期からの完全対応」を弁護士に対しても訴えていく必要があります。今日の裁判はそれを再確認させられるものでした。  

 裁判官:「この書類は誰が書いたのですか?」

 原告側証人:「行政書士さんです」

 口頭陳述でこのようなドキッとするやり取りがありました。

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 神奈川県集中、2日連続の相談会です。首都圏の活況は続いています。交通事故被害者の増加は喜ぶべきことではありませんが、多くの被害者に適切な解決へ導くべく、こちら側もさらなる奮起が必要です。

 この地域では病院同行をするメディカルコーディネーターが不足しています。地味でマイナーな仕事からか、適材の発掘が進みません。被害者に寄り添い、損害・障害の立証をお手伝いする人材を広く求めています。資格、経験は問いませんが、できれば40歳未満の女性が望ましいです。メディカルコーディネーターは女性のしなやかな感性が生きる仕事です。現場へ直行・直帰、フレキシブルな勤務体制なので、既婚・子育て中の主婦でも可能です。

 詳しくは↑お知らせの募集欄からお問い合わせ下さい。

 イメージ的にキリッとした姉御肌、篠原 涼子さんかな?

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 文例研究シリーズの合間に少し違う話題を。

 首都圏相談会・交通事故戦略会議も規模が拡大、弁護士事務所の協力もあり、全国各地で開催されています。全国の行政書士、MCも大車輪の活躍です。私が担当する首都圏も行政書士2人、MC2人の4人で担当していますが、多くの弁護士事務所の参入で、年中無休状態です。  先週金曜日は新しい試みとして平日に開催してみました。相談者さんも休日の方が足を運びやすいであろうと、土日中心の開催でしたが、平日もなかなかなもの、9名のご参加を頂きました。それぞれ解決に向けて皆真剣です。いくつか所感を。

1、弁護士事務所をはしご

 事故の解決を誰に委ねるか?相談者さんによってはかなり勉強をしています。そしてほとんどの弁護士事務所が無料相談会を開催していますので、複数に当って比べている熱心な被害者も増えました。いままでの弁護士の対応であれば、「症状固定し、後遺障害等級を取ってから」ではないと話が進みません。いずれの弁護士事務所でも「何級が取れるのか?」には慎重な対応となっていると思います。  しかし私達は違います。骨折部位、骨折の状態、治療の経過、現在の状況から、何級が想定されるかを検討します。さらに「このままの状態では腕で〇級、足で〇級」と断言するようにしています。等級の認定が解決へ向けての最大論点です。そして「それまで何をすべきか」、「最後にどのような交渉手段をとるか」・・・必要な事務と落着点を整理します。  私たちの相談会ではこの「目標とロードマップ」を提案することを主眼にしています。曖昧さを排除しなければ、被害者は情報過多で迷ってしまう傾向があるからです。よい道筋を示すことができたでしょうか?

2、優等生の被害者

 相手の保険会社ともめ続けて、いよいよ相手保険会社も弁護士を入れてきました。「さぁ困ったどうしよう?」、この段階で相談にいらっしゃる被害者さんも少なからずおります。散々無茶な請求を行い、怒りにまかせて罵って・・・相手保険会社の態度を硬化させた結果です。正直、弁護士はこの状況での受任を嫌います。後遺障害等級がとれないのなら尚更です。治療費や休業損害の継続についての交渉は医療立証が難しいだけではなく、その獲得金額からでは弁護士報酬は多く頂けないからです。結果として弁護士に受任されず、弁護士デパート(めぐり)、、途方に暮れて、相手弁護士(保険会社)に屈します。 続きを読む »

 今日から通常業務復帰です。休み中も細々と事務をやっていました。クライアントさんのみならず、仲間のM/C、行政書士、弁護士からも毎日のようにメールがきました。皆も完全に休めないようですね・・・

 さて本日は厚木で4件の被害者対応です。M事務所の弁護士先生と共同で面談し、M/Cを派遣するもの、直ちに賠償交渉に入るもの等々・・・交通事故解決のロードマップを作成します。この解決への道筋ともいうべき計画を作るには、弁護士は当然として、M/C(メディカルコーディネーター)を含めたチーム体制が効果的です。

 賠償交渉前にやることがたくさんあります。相手保険会社との折衝、医師との打合わせ、症状に応じた検査、後遺障害等級の申請、労災の申請、刑事記録の取得、ご自身加入保険の洗い出し・・・これらを弁護士先生が一人で担うのは現実的ではありません。これらをM/Cや他資格者、事務所内の補助者等が分担します。これは保険会社類似の体制といえます。 例えば交通事故の加害者になった場合、まず加入している保険会社に事故報告をします。そしてサービスセンターと呼ばれる事故対応セクションにおいて、被害者のケガ・病院の対応を人身担当者、被害者の車の修理・弁償の対応を物損担当者、そして担当者のもとで、医療調査員、物損アジャスターなど複数の人員が動きます。また場合によっては顧問弁護士、顧問医師などが助力します。  これを被害者側で構築していこう! 

 これが私達が現在、推進している完全解決メソッドです。

 この体制が進展すれば、規模の大きい弁護士事務所などは保険会社の逆サービスセンターになります。

 被害者救済の最も進化した体制作り・・・これも私たちのライフワークのようです。

  p.s. 

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