営業日に欠かさず業務日誌を更新し続けてもうすぐ5年です。交通事故・被害者の皆様のお役に立つページを堅持すると共に、今年からは、より多くの皆様からご依頼をいただけるよう、事務所一同、より積極的なアプローチを心がけ、質の向上と努力を怠らず、勤めて参りたいと思います。
それでは、年をまたぎ、前回の続きを書きます。
行政書士ですが、10年ほど前から隙間産業的に交通事故分野に参入してきました。当時、弁護士はほんの一部を除いて、交通事故には積極的ではありませんでした。しかし、現在、交通事故分野の行政書士の命脈は儚いものになりつつあります。
ご存知の通り、保険会社の提示する賠償額と裁判で用いられる基準額があまりにも乖離しているので、行政書士による、「賠償請求を書面作成でサポートする」業務が生まれたのです。しかし、どう詭弁を弄しても、これは賠償交渉なので弁護士法違反のそしりを受けてきました。
そして、ここ数年は弁護士会からの圧力を受けてか、「自賠責保険の申請業務」に表看板を架け替えて、自称「後遺症の専門家」になりました。しかし、実態は一部を除き、後遺障害の知識に乏しく、誰でも書ける書類を右から左へ、代書・提出の簡単な業務で法外な料金を取っています。看板の裏では、弁護士の影に怯えながら、影でコソコソ書面による賠償交渉を継続している者も未だに多いのです。
さらに、非弁行為にまつわる業際問題を裁判に持ち込む、蛮勇を発揮した書士もおりました。内容証明、離婚、その他権利業務で悉く行政書士が負けている事実を認識できないのでしょうか。結果として、迷惑なことに、高裁で行政書士に不利な判決を引き出すことになりました。「自賠責保険の代理請求」はもはや、判例上、非弁行為とされてしまったのです。交通事故・行政書士は自ら淘汰の道に進んだと言っても過言ではないと思います。
行政書士が職域拡大に地道な働きかけをせず、影でこそこそ賠償交渉して、あげく個別の訴訟で負ける・・この自爆状態でいることは業界全体として非常に不幸な事です。業際問題は個々の司法解決ではなく、団体双方の話し合い・調整で進めるものと思います。
そうは言っても、行政書士会による民事業務の拡大にはまだまだ時間がかかりそうです。一昨年、自らの守備範囲に近い、行政不服審査法の代理権をようやく得ました。しかし、特認書士(公務員、行政事務経験が○年で資格取得)が多すぎる組織では、民事分野においては実力担保の面で対外的に理解が得づらく、簡単にはいかないでしょう。会全体として、民事業務を推進、積極的な課題とできないジレンマを感じます。
行政書士・各県会でも「交通事故業務」に対しての温度差が激しく、パンフレットの扱い業務に載っていない県会すらあります。多くの会は交通事故はじめ、微妙な業務から距離をとっているように思います。業際問題を起す気はないようです。
逆に、推進している県会の研修をみると、びっくり、”賠償金の積算”などを勉強しています。弁護士と競業する気でしょうか? これでは弁護士会と「業際の線引きの話し合い」ではなく、「戦争」を仕掛けているようなものです。しかも、法的にも道理でも勝てない戦争です。民事業務拡大に対して、何か根本的に勘違いをしているのかも知れません。
前回、今回と交通事故を主たる業務として扱う弁護士と行政書士、近事の推移を振り返りました。この業界、それぞれの都合により、商売優先、被害者置き去り、混沌としている中、笑いが止まらないのは保険会社と勝ち組の大手法人弁護士事務所ではないでしょうか。
つづく