タイトルのみでは意味不明かと思いますので、具体例をあげつつ述べていきたいと思います。以下の例は実際にあった相談内容です。
<例1> 相談の際、診断書を拝見しました。
診断名に「骨折」と記載されていました。相談者の痛みの部位と医師から説明を受けた骨折部位とが一致していると考え、後遺障害診断書に疼痛及び画像所見を記載して頂くことにしました。
相談当日には画像を持参されなかったので、後日、画像をすべて収集し、実際にみてみました。しかしながら、骨折したと説明を受けた箇所をいくらみても骨折しているようには見えません。事故当日の画像から最後に撮影された分すべてを見ても骨折箇所がわかりませんでした。
実際に後遺障害診断書を依頼する前に骨折箇所を主治医(個人で経営されている整形外科)に質問してみました。主治医は改めて画像をみてくださいましたが、そもそもどこなのかよくわかっていないよう様子でした。主治医によると、骨折については紹介元の病院で診断されており、ここではリハビリのみを頼まれていた、とのことでした。
やむを得ず、紹介元の病院に依頼者と共に行き、骨折しているかどうかを確認すると共に、念のため画像も撮影しました。そこでは当時依頼者を診察して下さった医師は他の病院に移ってしまい、他の医師に診て頂くことになった。その結果、骨折箇所がなさそうであること、さらに、最初に撮影した画像を診ても、骨折箇所は不明であること、さらに、大元の医師は単に「骨折の疑い」と記載していることがわかりました。
結論として、最初に診察した医師は骨折していると直接診断しておらず、紹介状や依頼者の口頭説明等で伝言ゲームのように骨折していることにされてしまったようです。
依頼者は怒っており、訴えたいようなことを言っていました。しかし、骨折していたのに骨折を見逃したのであれば医療過誤になりうるといえますが、骨折していないのに骨折と診断されたことについては、依頼者に損害が発生しているわけではないので、訴えるだけ無駄です。依頼者をとりあえず説得して保険手続きを進めることにしました。
しかし、痛みについては嘘ではなさそうでした。骨折が原因であったと考えていれば治療すればいずれ良くなると思えますが、今回では痛みの直接の原因が最後で不明になってしまい、より不安になってしまった依頼者には気の毒なことになってしまいました。