本日は千葉県東部での研修会でした。
  

入り口でPepper君がお出迎え。大分、普及していますね

 毎回、様々なご質問を頂きます。平素、被害者の視点に沿った質疑応答に終始しますが、加害者側からの質問・相談です。立場を替えて回答しました。以下はその質疑応答の概要です(守秘義務がありますので、内容を改変、一般化しています)。

 お金を頂くプロである以上、依頼者本位が原則です。しかし、被害者・加害者どちらの立場であろうと、悪者は共通の敵だと思います。「こんな人たちに負けるわけにいかない!」  
 
Q) 交差点の信号待ちで、ブレーキペダルから足を離してしまい、前車に軽くコツンと追突してしまいました。相手の損害はバンパーにキズがついた程度です。それでも、相手は救急車で搬送され、毎日のように通院しています。しかも、通院に毎回タクシーを要求してきます。事故から3ヶ月ですが通院は当分続きそうです。当方は恥ずかしながら、任意保険に加入していませんでした。相手から今後、ずっと請求が来るのかと思うと不安です。どのように対処していったら良いでしょうか?
 

A)受傷機転やケガの程度から、明らかに不当な請求と判断できます。本件の相手は、過去に被害事故を経験しており、事故慣れをしているのかもしれません。本来、このような被害者に対処するためにも任意保険の加入が望まれます。間に入った保険会社は、長期間の治療費は支払いませんし、必要性のないタクシー代も支払を拒否します。

 しかし、あいにく、保険に未加入・・・

 このような場合、私はまず第一声でこう言います。

 「払わなければいいのです」

 本来、困っているのは、お金を取れる保証などない被害者の方です。被害者が加害者から賠償金を回収することの方がはるかに難しいのです。被害者側に立った弁護士は、請求する側で毎度苦労を重ねています。交通事故の諸問題では、明らかに払う側=加害者側が有利と断言します。

 本件の場合でも、正当な賠償金は自賠責保険の範囲で賠償が完了するケースです。不当な要求は毅然と拒絶すべきです。すると、困るのは相手です。そこで、相手が諦めるか、法的手段に訴えてくるのか、高みの見物を決め込めばよいのです。もし、法的手段、あるいは反社会的な方法とってきた場合、こちらも弁護士を立てて対処することになります。経験上、詐病、詐欺に連なるような、明らかな不当請求、医学的な常識を超えた長期通院の場合は、相手も法的手段に訴えづらく、また、そのような被害者を助ける弁護士も稀です。相手はきっと弁護士探しに苦労するはずです。

 もし、被害者が窮して、脅しや不法行為にでてきたら、警察に「恐喝」の被害を訴えでます。最後には、弁護士に委任して「債務不存在確認訴訟」を提起することもできます。これは、「これ以上払ういわれは無い!」ことを裁判で決めるための逆訴訟を起こすもので、任意保険会社が用意した弁護士の常套手段です。経験上、ここまで相手が粘る事は稀で、およそ、自賠責保険の限度額までの請求で諦めるようです。
  
 
 不当な被害者に悩まされている加害者の方は、過度な心配をする必要はありません。毅然とした態度で対処していけばよいのです。また、1人で悩まず、早めに専門家に相談することをお勧めします。