これは、交通事故業界に留まらず、あらゆる業種の縮図かもしれません。
今年も、相談が遅れたた為、有効な手を打たないまま症状固定日を迎えた、あるいは後遺障害等級を取りそびれた相談が相変わらずです。
これらの被害者さん達に共通する事は、相手保険会社や安易に契約した弁護士、無責任な周囲の声に従って、上手くいくだろうと希望的バイアスが働いてしまったことです。そのまま、自らの失策に気づかない方もいらっしゃると思います。しかし、ご自身の重大事から、ネットや書籍で調べていくうちに、だんだんとまずい流れにいることに気づきます。その結果、専門的な用語に検索ワードが及び、ようやく交通事故110番や秋葉事務所のHPにたどり着くことになります。
秋葉に相談して初めて、今までの対策がまずかったことを完全に自覚します。例えば、
・保険会社の治療費打ち切りに憤慨、担当者と大ケンカの末、弁護士対応とされた。
・事故以来、耳鳴りや排尿に異変があったが、そのうち治るだろうと思っていたので、耳鼻科や泌尿器科を受診したのが数か月後だった。もちろん、後遺障害は否定に。
・事故以来、肩が上がらない。主治医は湿布と痛止めを出してくれただけで、「様子を見ましょう」と。そのまま、半年後になって、MRIを撮ったら肩の棘上筋に不全断裂が見つかった。しかし、事故との因果関係なしと判断されて、後遺障害等級はつかず。
・交通事故に強いと触れ込みの弁護士先生に契約するも、どうやら、私のケガの受任経験が乏しいことが分かった(往々にして、半年後には、日夜勉強している被害者さんの知識が弁護士を上回ります)。
・保険会社から紹介された弁護士に任すも、着手金を取ったら、あとは事務員対応、弁護士は「今日は裁判所に言っています」で、ほとんどつかまらない。やっと電話がつながっても、「後遺障害診断書を待ってます」の対応に終始。
・単なる打撲や捻挫ではない痛み、手や脚にしびれがあるも、病院に通わずに整骨院への通院に切り替えてしまった。
・頭部外傷を負ったが、3か月後に医師から、「頭の中の出血はもうありません、退院して大丈夫ですよ」と言われ、普通に会社に復帰した後、以前のように仕事ができない。その内、戻るだろうと、数か月間何もせず、保険会社と示談してしまった。
以上、数えればキリがありません。中には、秋葉事務所によって大逆転、なんとかリカバリーできる件もあります。しかし、野球で言えば0対10で迎えた9回裏のように、敗戦処理が多くなります。まるで、敗戦投手の登板です。
おかげ様で最近は口コミ、保険会社関係、弁護士から、難事案の相談が増えました。小事務所では、そのような口コミの拡大が限界です。私どものような活動は、時間をかけて周知していくしかないのでしょうか。
しかし、宣伝=商売に走れば、それで仕事・受任を増やすも、どうしても経験浅いスタッフの実戦配備が増えます。結果、仕事の精度の低下は避けられません。私としては、経営効率や売り上げを優先させて、目の前の被害者さんに全力投球できなければ、この仕事を辞めます。
かと言って、商売度外視、職人気質で受任を制限して、精度を保つ方法を選ぶ道もあります。しかし、その頑な姿勢では、数多くの被害者さん達に声は届かず、秋葉事務所はますます、隠れた店になってしまいます。
宣伝・売上に走ることの弊害がある以上、じっくり時間をかけて、事務所の実力・精度を保持・向上しながらの成長を目指すしかありません。有用な人材を登用し、じっくり時間をかけて育てていくことになります。それは、険しく、時間のかかる道です。この第3の道は、理想論に帰結するかもしれません。私が働ける年数はあと20年程かもしれませんが、覚悟の上でやっています。