秋葉事務所は、単なる書類の取りまとめを行っている事務所ではありません。画像分析と医療調査、そして解決までのプランを示すこと、つまり、交通事故解決の中核的な作業を担っています。

 今日はタイトルにあるように、医療調査の基本軸である、病院同行・医師面談について語りたいと思います。
 
 「被害者側の医療調査業」とは、行政書士資格をとっただけで”交通事故専門”を名乗る事務所とは一線を画しており、交通事故に強いと宣伝する弁護士事務所に勝る専門性を自負しています。弁護士事務所から信頼いただき、ご依頼を受ける専門家は一朝一夕では生まれません。被害者側の医療調査は簡単な仕事ではないのです。まず、病院同行するメディカルコーディネーターの研修期間は1年以上かけます。どうにか研修生を卒業となるのでは、年間120件の医師面談を3年以上が絶対です。それでもまだまだ経験不足、実戦経験を積む毎日です。

 基本的に被害者さんの診察に同席し、一緒に主治医からお話を伺います。そして、検査のリクエストを行い、診断書の記載内容まで踏み込んでいます。なぜこの作業を重視するのか?・・・医師は治す事が仕事であり、治療者の観点から患者の障害を評価します。それは時として、保険会社側が要求する情報と食い違ってしまうからです。具体例を挙げましょう。
 
 
(実例)鎖骨骨折後、鎖骨の変形に関する評価
 
医師 「鎖骨の癒合はよく、問題ありません。そろそろ症状固定でもいいですよ。」

被害者「先生、任せている行政書士さんから、鎖骨の変形で後遺症が認められると聞きましたが・・」

医師 「これ位は日常生活に影響ないよね。変形とまでは言えないよ。」

被害者「そうですか・・・」 やっぱりダメかと、とぼとぼ退散します。


・・後日の診断日、今度は秋葉が同行しました・・

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秋葉 「行政書士の秋葉です。先生、一緒にお話を伺ってよろしいでしょうか」

医師 「(面倒くさそうに)患者がOKならいいですよ」

被害者「後遺症の診断書の件ですが・・」

医師 「先日も言ったでしょ。後遺症はないよ」

秋葉 「先生、被害者さんの鎖骨を左右比べると、折れたほうが少し出っ張っているのですが」

医師 「これ位は変形とは言わないよ」

秋葉 「はい、仰るとおりです。変形なくきれいに治して下さり感謝しています。でも先生、確かに日常生活には問題ないですが、自賠責保険はこれ位でも体幹骨の変形として評価してくれます。これで少し保険がおりますので、今後のリハビリ費用にあてたいと思っています」

医師 「この程度で保険がでるの?」

秋葉 「はい、後遺症とは大げさですが、臨床上の評価とは違って、保険の評価では大丈夫です」

医師 「ふーん、じゃ、一応書いておきましょう」

秋葉・被害者 「ありがとうございます!」
 
 
 この診断書で12級5号が認定されました。自賠責保険金224万円が被害者に振り込まれます。そして、12級は主婦でも後の賠償交渉如何で慰謝料・逸失利益が600万円にまで膨らむ可能性があるのです。

 医師の臨床上の判断では、確かに後遺症とまでは言えないものかもしれません。しかし、結果として600万円を失います。本件は秋葉が病院同行し、医師を説得した結果、600万を手にしたことになります。もちろん被害者さんは大喜び、「被害者側の医療調査」と付随する「医師面談」の価値は疑いようがありません。

 本例が示すように、医療者側と保険側の評価は違う時があります。しかし、医師の性格を洞察し、診断書の記載方法に踏み込まなければ、まったく違う結果となってしまうのです。すべての案件に病院同行が必要とは言いません。それでも、実際に医師に会ってみないと対策できないことが多く、特に後遺障害認定作業においては、医師面談は手っ取り早い手段となります。

 ただし、誰でもできる仕事ではありません。医師と会話できる知識、診断書を読み取る学識、画像の読影力、これら知識面に加えて、医師の性格を読み取る観察眼、短時間で医師の信頼を得るコミュニケーション能力、医師と穏便に折衝を続ける忍耐力・・総じて医学的な知識より人間力がものをいいます。これらが備わっていない者を病院に派遣出来ません。未熟さから医師とケンカして帰ってくるようでは困ります。これが高度な専門性を謳っている理由です。
 
 医師も人、医師面談も人対人の作業です。何より誠実な心・姿勢が大事です。私達は人を信じているから、医師に会うようにしているのです。