【病態】
中手骨は手の甲の5本の骨です。中手骨骨折は5番目である小指側に頻発します。中手骨の頚部骨折はボクサー骨折と呼ばれ、固いものを殴ると折れるようです。
【整復】
10°以上の転位例では患指を牽引しながらMP関節、PIP関節を90°屈曲し、掌側より骨頭を押して整復します。
この固定法ですと皮膚壊死、屈曲硬縮が生じる可能性があるため、整復後はMP関節60°、PIP関節30°屈曲位で外固定します。
【後遺障害】
ベネット骨折は母指(親指)の表でしたが、母指以外の指の表を参照します。2分の1制限で「用廃」=12級10号となります。もっともこの骨折から2分の1程の関節可動域制限が起きること稀で、きちんと整復がなされれば、変形の12級相当や変形・転位が残存したの場合の疼痛=12級13号もめったにありません。やはり癒合状態が良好ながら痛むケース=14級9号の判断が多いようです。
部位 |
MP 関節主要運動 |
PIP 関節主要運動 |
||||
手指 |
屈曲 |
伸展 |
合計 |
屈曲 |
伸展 |
合計 |
正常値 |
90 ° |
45 ° |
135 ° |
100 ° |
0 ° |
100 ° |
用廃 |
45 ° |
25 ° |
65 ° |
50 ° |
0 ° |
50 ° |
手指の関節は、母指にあっては、指先に近い方から IP 、 MP 関節、母指以外の手指にあっては、指先に近い方から DIP 、 PIP 、 MP 関節といいます。
★ 大事なこと・・・受傷部位からMP関節の可動域制限は説明が付きやすいのですが、それ以外の関節の可動域制限は受傷部位と関係ないと言えます。他の理由を追及する必要があります。