秋葉は、被害者さんの意を酌んだ仕事を目標にしています。しかし、時として、お気持ち<お金 とした解決を推奨します。それは何も賠償交渉だけの話ではありません。後遺障害の等級認定の場面でもあるのです。
本件は、心臓機能の障害より脳障害でまとめた方が、高い等級が付くと睨みました。軽重様々な障害が現れる高次脳機能障害は、「神経系統の障害」で総合的に判断される傾向です。審査側のその思考こそ、障害の実態に沿うものです。依頼者さんに損得の面から説得の上、狙い通りの結果を得て弁護士に引継ぎました。損害賠償とは、結局のところ金銭の多寡、「なんぼ取ったか」です。本例は高次脳機能障害・立証の応用例として、事務所の実績に刻みたいと思います。
でも、「お金より内容を!」と言われたら・・悩みどころです。
7級4号:高次脳機能障害(40代男性・神奈川県)
【事案】
夜間、道路を横断中、自動車に跳ねられた。加害自動車はそのまま逃走した(翌日出頭、任意保険の存在も確認できた)。幸い、目撃者の通報で救急搬送された。胸部の大動脈に損傷があり、人工血管置換術にて回復。他に脳挫傷、頚椎棘突起骨折、肋骨骨折など。
【問題点】
ご本人にとって、血管の手術後の体力低下や運動制限が将来に禍根を残すものとなった。脳外傷としては、易疲労性や鬱症状などが見られたが、比較的軽微と言えた。ご本人の訴える症状すべてに漏らさず等級を付ける原則は変わらないが、どれも12級レベル、12級をいくつ取っても併合11級止まり。
【立証ポイント】
熟考の結果、「神経系統の障害」を一まとめに高い等級を狙う方針とした。ただし、目立った脳障害・精神障害は見られず、神経心理学検査では有意な結果は得られそうにない。初期に受診したのみで「もう来なくていいよ」と言われた脳外科を再診し、症状を細かく医師に伝え、高次脳機能障害を主訴に診断書を揃えて審査に付した。
審査側に意図が伝わったのか、総合的な判断で7級4号の結果が返った。ご本人の訴える障害とは違ったものの、賠償金が目的である以上、「何が認められるか」より「数字」である。異例の成功例となった。