旧基準から新基準に改定された顔面部の醜状痕ですが、顔面線状痕の場合、労災の基準上はキズの長さで区分されています。しかし、”目立つか否か”も前提基準です。
3cm 以上の線状痕 →12級
5cm 以上の線状痕 → 7級
となると、新設の9級16号の基準は?
非公表のため、長らく謎でした。ここ数年の認定結果から予想通りと言うか、線状痕の7級(5cm以上)はほとんどが9級評価の結果となっています。
7級12号 外貌に著しい醜状を残すもの
9級16号 外貌に相当程度の醜状を残すもの
★「著しい=5cm以上」→「相当程度=5cm以上」に降格したようです。今シリーズの最後に労災の『障害認定必携』の改定された部分をまとめます。
⇒ 労災の線状痕の新基準
9級16号:顔面線状痕(60代男性・栃木県)
【事案】
道路を歩行横断中、バイクにはねられ受傷。救急搬送され、腹部を手術、その他、次の診断名となった。腸間膜損傷、恥坐骨骨折、腓骨骨折、顔面裂傷、歯牙欠損、そして脳挫傷。
【問題点】
日焼けで線状痕が目立たず、かなりの長さ。17cmでも7級は無理か?
【立証ポイント】
連携弁護士が付き添った面接では、キズの計測よりも高次脳機能障害の観察もあったよう。これについては本人への面接で大いに参考になったかもしれない。
醜状痕の判定は”目立つか否か”が問われる。新基準の9級も致し方ないところ。