相談会で嘆息、「普通、これだけのケガなら12級以上は楽勝」なのです。同様の診断名で併合9級となった被害者さんも少なくありません。
本件被害者さんの治療努力と中途半端な症状の残存を考えれば、14級程度では到底納得できないものです。あと数ヶ月、症状固定が早ければ・・など後悔しても仕方なく、むしろ、良好な回復は喜ぶべきことで、ご本人の治療努力こそ称えられるべきです。それでも、難易度が高騰した12級を目指して、策を講じました。
根性のある被害者さんこそ応援したいのです!
12級6号:鎖骨骨幹部・肋骨骨折(50代男性・神奈川県)
【事案】
自転車で走行中、対抗自動車がセンターラインオーバーし、衝突を受け受傷。鎖骨・肋骨を骨折、さらに下肢は大腿骨を骨折した。通常、複数の後遺障害が視野に入るはず。
【問題点】
本人の「障害など残さない」強い意志から骨癒合後も懸命のリハビリを続け、明確な後遺障害等級に至らない状態で相談会に参加された。下肢には可動域制限などの機能障害はなく回復。肋骨の癒合状態は裸体でわかるほどの変形はなく、鎖骨の癒合も変形なく良好、わずかに肩関節の挙上に難儀があった。ただし、これも鎖骨骨幹部骨折からでは(肩関節への影響は少ないもので)説明が難しい。
このままでは、痛み=神経症状の14級9号のオンパレードで、ケガの状態に比して相応する賠償金が得られない。本人の治療努力が仇となり、賠償金に結びつかない不合理なケースとなっていた。
【立証ポイント】
「14級の認定なら(当たり前なので)報酬0円でよいです」と宣言、12級を獲得するためのミッションがスタートした。肩関節の可動域を説明するため、鎖骨部に限らず、広く肩関節と肋骨骨折部を描出した3DCTを追加検査、これを基に、主治医に「肋骨骨折の胸部変形が肩関節に影響している」旨の追記をして頂いた。つまり、複合的な作用から肩関節の機能障害が残存したことをポイントとした。さらに、自らの症状を説明する別紙を作成、受傷~治療・リハビリ~症状固定までの経過を克明に伝えた。
これら追加的な作業が功を奏し、肩関節は機能障害の12級に届いた。これで最終的な賠償金は4倍にも膨らみます。依頼者さまだけでなく、連携弁護士も思わずガッツポーズ!
健康で根性のある被害者さんにとっても、後遺障害等級の認定は簡単ではないのです。