腰椎の圧迫骨折を数例、経験しています。共通する事は高齢者を除き、後遺症として”永久に回復しないわけではない”ということです。
 
 保険会社の賠償金提示でも、将来の損害である逸失利益を否定する傾向です。保険会社に言わせれば、「骨が元通りに再生すれば、障害は残らない」はずなのです。確かに受傷初期の激痛は半年も続かず、その後、日常生活に支障の少ないケースをいくつもみています。当然、若い方なら骨の再生も早いものです。

 それでも、痛みや不具合は数年続きます。仕事のパフォーマンスも永久ではないにしろ、数年は下がるでしょう。したがって、圧迫骨折の11級認定を受けるだけではなく、痛み等を12級13号の評価と同じく、神経症状の残存として内包させる必要があります。この辺を理解していない弁護士・行政書士に依頼すると、後の賠償交渉で数百万円も失うかもしれません。

 弊事務所では「交通事故で骨折したら、まず相談」を呼びかけています。

appakuMRI(左)とCT(右)

11級7号:腰椎圧迫骨折(40代女性・埼玉県)

【事案】

自転車で横断歩道を直進中、左後方から右折の加害自動車に衝突された。救急搬送され、腰椎の圧迫骨折が診断された。

【問題点】

相談に来られた際に画像はレントゲンのみで、CTやMRIは撮っていないことがわかった。また、腰痛は軽減しつつあった。

【立証ポイント】

腰椎の圧迫骨折は受傷初期に激痛が生じるが、時間が経過すればするほど症状は軽減傾向である。また、腰椎の圧潰が新鮮骨折であることを示す為にMRI、圧潰率を後遺障害診断書に記載して頂くためにCTを、それぞれ急いで撮影した。これらの画像から圧潰の時期、程度がレントゲンよりもはるかに明確になる。
さらに、残存している症状は何かを丁寧に洗い出し、症状固定の際に主治医に伝えた。痛み等の自覚症状は後の逸失利益の交渉に欠かせない要素となるからである。