なんだかんだ言っても、自賠責保険の等級認定は精度が高く、認定結果の多くはその論理的な判定基準に納得しています。

 一方、交通事故でも、加害車両がない自転車事故のように、自賠責保険の後遺障害審査にふす事ができないケースがあります。すると、対応する保険契約を探し、その自社認定に頼ることになります。自賠責保険は任意保険の会社と密接でありながら、第3者機関としての立場で審査します。比して、自社認定は保険金を支払う保険会社が独自審査するのですから、判定のブレはもちろん、一抹の不安があるわけです。

 本件の場合、自身加入の保険会社と加害者が加入する賠償保険(工事業者が工事中、第3者に損害を与えた場合に補償を行う請負賠償保険)双方に審査・請求を行いました。何故、そんなことをするのかは、以下の通りです。

保険請求のプロを自負しています

請負賠償12級13号:膝蓋骨骨折(50代男性・埼玉県)

【事案】

自転車に搭乗中、道路工事の工事中の標識がなかった為、工事現場に進入してしまい転倒、膝を強打、膝のお皿を骨折した。

【問題点】

相談時には既に約1年が経過しており、症状固定を急いで行う必要があった。また、本件は自賠責ではなく、工事業者が加入の請負業者賠償責任保険への請求の為、こちらが意図した等級認定をしてくれない危惧があった。

【立証ポイント】

まずは、依頼者の加入の保険精査を行った。所有自動車の保険に自転車事故補償の特約があった為、工事業者と加入保険会社双方に後遺障害申請を行う方針を固めた。通常であれば、加入保険会社には後遺障害診断書の写しを送付すれば済むことだが、あえて後遺障害診断書の原本を2枚記載いただくことにした。これは、双方に原本を提出、12級か14級の選択をさせて、どちらかの12級認定を、一方の会社が14級判定した場合に対して示し、12級認定を求める根拠とするためである。つまり、両天秤策。

医師面談では、両膝揃えてのレントゲン撮影依頼で左右を比較した。矢状断でお皿の癒合に変形を確認、その旨を主治医に記載していただいた。続いて、両会社に同時申請を行い、工事業者からは1ヶ月で12級がスピード認定がされた。次いで、連携弁護士の介入・交渉によって、ほぼ赤本基準満額の解決となった。

(参考画像:膝蓋骨の破裂骨折)

自身が加入の保険会社は審査に半年かかったが、12級での解決に引っ張られた形で12級13号認定となった。保険の有無・性質によって、請求方法や解決の糸口を模索した案件であり、保険請求に精通している秋葉事務所らしい解決となった。