指が切断されたのであれば、特に後遺障害の立証作業は必要ないでしょう。
しかし、機能障害(曲がりが悪くなったケース)では、その可動域の正しい計測だけではなく、なぜ曲がりが悪くなったのかを証明しなければなりません。しかし、自動的に証明されるのでしょうか。医師に診断書の記載を促し、検査を任せればいい?・・それは、無理です。診断書はたいていおざなり、まして、障害の立証のための検査など医師の仕事ではないからです。医師は治療の終わった患者に対して、関わっている時間も情熱も無いことが普通です。
それでは、誰が助けてくれるのか? 残念ながら、本件の弁護士先生はできませんでした。交通事故外傷はそれだけ奥が深い、専門分野といえるのです。
本件は山本の仕事 「指はお任せ下さい!」
非該当⇒10級7号:母指基節骨粉砕骨折 異議申立(40代男性・東京都)
【事案】
バイクで交差点を直進のところ、右方よりの自動車と出会いがしら衝突。衝突により、母指基節骨、膝蓋骨、肋骨をそれぞれ骨折した。このうち、母指基節骨については粉砕骨折であった。
【問題点】
症状固定時期には母指、膝の各箇所に痛みが残存し、かつ、母指のIP関節(指節間関節)に可動域制限が残存した。前任弁護士が後遺障害の申請をするも非該当であった。IP関節の機能障害の立証・・経験のない先生では限界か。前任弁護士を解任した上で受任した。なお、異議申立をする頃には、膝の痛みは軽減していた。
【立証ポイント】
相談会で母指の基節骨をCTで確認したところ、関節面の不整を確認した。後遺障害診断書にもその旨の記載及び、それによる可動域制限についても記載があるにもかかわらず、可動域の数値が2分の1以下になっていなかった。日本整形外科学会の計測方法でもう一度計測を主治医に依頼したところ、2分の1以下の数値を計測した。ここまでは基本作業である。
続いて、関節の変形が事故によるものであることを説明する必要があり、ケガをしていない健側の母指のCTを今回新たに撮影した。両方の指を比較、上記変形については本件事故によるものであることを改めて主治医に診察して頂いた。さらに、弊所得意のビデオ映像にて、指の関節を実際に曲げるところを撮影して提出した。
審査は5ヶ月を要したが、数値通り10級7号が認定された。このように10級をとるには緻密な立証作業が必要なのです。
MP関節(親指の根元)では認定経験があるが、IP関節では事務所初の認定となった。