自動車の衝突の際、シートベルトのテンションがかかり、人体をシートに保持します。それで、フロントガラスへぶつかることなく人体を守ります。一方、ベルトの締め付けから、胸に青あざが残ることがあります。また、女性に多いのですが、ベルトの締め付けで鎖骨や肋骨、胸骨が折れることもあります。
本例もベルトによる受傷と思いましたが、ご本人の説明ではエアバックは開かず、ハンドルに胸を強打したとのことです。本件の被害者さんは小柄の為、シートをかなり前方にしており、ハンドルと体の間がわずかだったことがその理由です。
胸骨自体は、亀裂骨折程度なら、保存療法で癒合を待つのみです。ただし、胸骨が折れるほどの衝撃から、胸部の痛み、軽い呼吸困難が続きました。14級が認定されてしかるべき案件でした。
胸骨での認定は少ないものです
14級9号:胸骨骨折(70代女性・静岡県)
【事案】
業務で自動車を走行中、細いカーブにて対向車が目測を誤り、当方に寄ってきて正面衝突したもの。衝突角度からかエアバックは開かず、胸部をハンドルに打ち付け、胸骨の骨折となった。胸骨は保存療法とされたが、頚部・腰部を含め胸部の激痛からリハビリを継続することになった。
【問題点】
過失割合に争いがあり、相手損保は30(当方):70(相手)の主張。過失減額を考慮して労災治療とした。また、治療先の医師との関係が上手くいかず、医師から早期の打切りを宣告された。
【立証ポイント】
病院に同行して、再三病院側を説得した。なんとかリハビリを継続させ、6カ月目で自賠責、労災共に申請に漕ぎつけた。
結果、胸部、頚部、腰部にそれぞれ14級9号がついた。もちろん労災からも14級で特別給付8万円を確保、自車の保険からは特別給付金が支払われ、最終的には、弁護士の交渉で過失割合を10:90程に修正、追加で200万円余りを追加獲得した。
医師に嫌われると等級は取れません。つまり、200万円を失うところだったのです。東京からわざわざ病院同行する意味があるのです。