醜状痕の後遺障害認定は、医師が診断書に図示、長さや大きさを計るだけ、写真でも添付すれば、面接さえ省略の認定です。
ところが、傷の大きさが基準ギリギリであったり、色の濃さ、つまり目立つか否か、審査員の判断次第といった微妙なケースもあり、認定結果が分かれることがありました。今までも、微妙なケースでは、連携弁護士の付き添いで面接をしたものです。
近年は、明らかなキズの場合など、診断書の図示だけで認定されます。あるいは、定規をあてた写真の提出が要請されます。さらに、コロナの影響も加わり、自賠責側は面接を割愛する傾向です。
本件の場合、だからこその油断があったのかもしれません。余裕で上肢・下肢とも14級認定の予定が、初回申請では「大きさ」が認めらず、再計測&再申請を強いられました。面接がないからこその慎重さも必要と感じた次第です。
14級と言えども簡単にくれないものです
非該当⇒14級4号・5号:上肢醜状痕・下肢醜状痕(10代男性・神奈川県)
【事案】
横断歩道上で持ち物を落とし、しゃがんで拾っている最中、対抗右折車の衝突を受けた。上腕骨を骨折し、全身に擦り傷を負う怪我となった。
【問題点】
最大の問題は、相手方が無保険だった。裁判を視野に入れた為、まとまった賠償金額の請求上、何としてでも後遺症等級認定を得る必要があった。事故から約6ヵ月間に渡り、醜状痕の確認は勿論、上腕骨の骨折があったため万が一可動域制限や、神経症状が残った場合も確実に等級認定がされるよう、正確な症状の把握と、医師への説明をフォローした。
やはりと言うか、骨折は子供さんらしく骨癒合良好、後遺症なく回復傾向に。ただし、傷の状態から醜状痕として残る事は間違いなかった。骨折までして、非該当では辛い。いつも通り、別紙に醜状痕を記載頂き、写真と共に提出も、自賠責から非該当の結果が返ってきた。
【立証ポイント】
コロナの影響か、内部規定の変化からか、醜状痕の面接は少なくなった。写真を確認した自賠責からは「醜状痕の面積は等級に値しない」との回答。納得がいかず、同じ病院にもう一度出向き、主治医が異動した為、代わりの医師に改めて醜状痕の計測をして頂く。
異議申立書には2度の医師による計測で、14級に該当する面積と判断されている旨を記入し申立を行う。「なんなら面接をして!」と訴えた。
今度こそ自賠責から14級の認定を受け、ようやく交通事故解決の前半戦を終えた。