久々の高次脳機能障害ですが、実は認定は1年以上前です。現在、自賠責保険の認定後、訴訟に係累している高次脳案件が他に2件、立証作業中が4件・・まだ、ご紹介できませんが、続々と決着待ちです。
本件は、主治医が「高次脳機能障害」と思っていませんでした。脳神経外科の医師とはいえ、事故前の患者を診たことがありません。ケガをしてから診るのですから、事故前後の微妙な変化がわからないのです。その症状が軽度であれば尚更、普通に見逃される障害なのです。
大ピンチであったのですが、幸い佐藤が自ら開拓した近隣の(高次脳の検査・評価ができる)病院にお連れして、事なきを得ました。ホームページでいくら高次脳機能障害の専門家をアピールしても、病院を確保していなければ、絵にかいた餅です。弊所では、各県に専門外来・専門医を確保しています。これが、事務所の力と思っています。
各県に高次脳機能障害の評価が可能な病院をおさえていますから
7級4号:高次脳機能障害(60代女性・東京都)
【事案】
自転車で横断歩道を走行中、自動車に衝突される。頭部を強打したため救急搬送され、外傷性くも膜下出血、脳挫傷、側頭骨骨折の診断が下された。
【問題点】
受傷から1年以上経過していることから保険会社から打切りを迫られて、ご相談にいらした。主治医は高次脳機能障害に理解がなく、高次脳機能の検査すらまともにしていなかったため、すぐに検査できる病院と検査結果を評価できる医師を探す必要があった。
【立証ポイント】
直ちに病院同行の日程を調整し、主治医と面談することができた。大きな病院のため、恐らく高次脳機能障害の検査をすることは可能だったが、この医師では正しい評価・診断書作成は厳しいと判断し、以前、別件でお世話になった病院への紹介状を依頼した。
ひとまず検査と評価に問題はなくなったため、夫に事故前・事故後の変化を詳細に聞き取り、医師に提出した。診察では分からないような日常生活についてのエピソードを盛り込み、検査結果だけでは書ききれない項目についても、実情に踏み込んだ記載をしていただくことができた。本件は意識障害が軽度であったため、9級認定を想定していたが、日常生活の観察が評価されて7級4号が認定された。
一見すると、事故前と同様に回復しているが、ご家族や近しい人にしか分からない苦労が多々あるのが高次脳機能障害である。今回、無策のまま元の主治医に後遺障害診断書を依頼していたならば12級13号、若しくは14級9号で終わっていたかもしれない。