普通の道路で起きる交通事故だけではなく、構内事故の相談・受任も多い秋葉事務所です。
フォークリフトの場合でも、構内のみならず一般道を走行するには自賠責保険の加入が必要です。つまり、自賠責があるなら私達の仕事になります。後の弁護士の賠償交渉の前に、後遺障害等級を固める準備ができるのです。
足指の可動域制限が見逃されるのは、毎度のことです。さらに本件の場合、骨折後の骨変形と違い、軟部組織の腫脹では、14級を超えられないジレンマも抱えました。これら立証の基本は変わりませんが、前任弁護士の無策と、不完全な診断書の修正・追記に再三追われる結果となりました。
とどめは、初回審査で画像の精査をしていないような判断が返ってきました。地区審査では、一々顧問医に画像を観せて意見を求めていないのでしょう。難しい案件になると、立証側に二度手間の負担を強いることになるのです。さらに、本件自賠責の担当者も意地悪、いえ、厳しかった。担当者によっては、もう少し融通利かせてくれるものですがねぇ。
初回審査(地区審査)の精度・・私達の苦労は絶えません
14級9号・14級8号⇒11級9号:母趾基節骨+第5趾中足骨 骨折 異議申立(60代男性・東京都)
【事案】
市場の構内を歩行中、後方よりフォークリフトの衝突を受け受傷したもの。転倒の際についた肘は肘頭骨折、車輪でひかれた右足は足甲部に圧挫創と醜状痕、小指側の中足骨の骨折と足の親指(母趾)の骨折となった。
【問題点】
肘の回復は痛みを残すのみで良好であったが、足背背部(足甲)はその痛みはもちろん、腫大(腫れ)がひかず、足指も硬直気味で歩行に難儀をきたしていた。そして以下、問題だらけの状態で相談を受けた。
1、すでに後遺障害診断書は記載されていたが、案の定、足指の可動域は未計測で、足甲の腫れやなども不記載、これでは等級をいくつも取りこぼす。
2、足指の可動域を計測、健側(ケガをしていない方)と比べたところ、左右1/2も差がなく(1/2で用廃)、後遺障害の対象外。理由は健側が元々の外反母趾で可動域が制限されていた。
3、最も困窮している障害は、左右同じサイズの靴が履けなくなったほどの足甲の腫脹と痛み。しかし、過去の申請ではすべて14級9号止まり。軟部組織とはいえ、器質的変化とその残存は12級13号の対象ではないか?
4、先に受任していた弁護士が急遽退職から、宙ぶらりんの状態に。
これらの問題すべて、秋葉事務所ならクリアして見せます。引き継いだ弁護士と綿密に打ち合わせし、直ちに主治医と面談した。まず、足指の計測を追加頂き、”外反母趾の影響から日整会の標準値との比較すべき”と記述頂いた。
これらの診断書に足部を左右比較した写真とXP画像の打出しを添付、審査側にわかり易いように訴えかけた。醜状痕も別紙に図示頂き、写真も面談の手間をかけないよう、メジャーをあてた写真を添付した。
その他、困窮点を別紙にまとめ、障害の詳細を説明し尽くした。主治医の先生には大変な迷惑をお掛けしたものの、万全の体制で申請を行ったつもりだった。
ところが、母趾の機能障害は認めず非該当、小指の14級8号のみ。その他は醜状痕は14級5号、肘と足甲は14級9号止まり。これら併せて併合14級の結果に。
【立証ポイント】
初回審査の結果にやるせなさを感じるも再請求へ。提出する資料が限られる中、新しい医証の提出が必須の再請求であるところ、放射線科医に画像鑑定をかけた。母趾・基節骨の変形癒合と中足骨の癒合不良に関する鑑定、そして、足背部の腫脹に関する意見をまとめて頂いた。
提出後、医療照会がかかったようで、またしても主治医に負担をかけてしまった。それでも、待つこと3か月、今度は第5指に加えて母指も用廃が認められ、「1足の第1の足指を含み2以上の足指の用を廃したもの」として11級9号に届いた。
以下の障害も併合されています。
14級9号:肘頭骨折(60代男性・東京都)
14級5号:下肢醜状痕(60代男性・東京都)
14級9号:足背部挫傷(60代男性・東京都)