本日、電話相談で上腕骨小結節骨折の相談がありました。あいにく小結節だけの骨折例はありません。通常、骨頭部、顆上部の骨折とともに生じるので珍しいケースと思います。そして多くは大結節骨折です。
昨年の大結節骨折の例を投稿します。
【事案】
原付バイクで直進中、対向自動車が駐車場に入るため急に右折して衝突。肩から転倒して左上腕骨の大結節、肩甲骨、左第6、7、10肋骨を骨折。
【問題点】
癒合状態は良好なものの、肩関節の可動域制限が改善しない。職業もフリーターでなかなか復職しない被害者に対し、相手保険会社は治療費を打切る。その後健保でだらだら接骨院でのリハビリが続き、症状固定しないまま1年が過ぎた。病院も半年以上ご無沙汰になってしまい、診断書の記載に難儀して連携弁護士に相談に訪れた。
【立証ポイント】
症状固定しなければ話が進まない。まずは病院への通院を再開し、なぜ肩が挙がらないのか精査する必要がある。弁護士から案件を預かり、主治医に面談してMRI検査を追加依頼する。靭帯の損傷を検証し、骨折箇所の確認と可動域制限の理由を診断書に落とし込み、可動域の計測に立ち合って外転90度を計測していただく。
大結節の骨折状態と癒合状態が可動域制限に直接影響があるのかがポイント。しかしわずかながら肩甲骨骨折もあり、それら複合的な原因があったものとして10級を確保する。
さらに逸失利益の確保のため、復職を急がせるなど生活再建に厳しい指導を行う。ケガから早く社会復帰させることも私たちの使命と思っています。
昨年の失業率は4%。残念ながら30代で無職、ニートはもちろんフリーターまでも保険会社から良い目では見られません。
働いていなければ休業損害は0です。事故前年の収入がなければ逸失利益も0を提示されます。このように「働かなければ負け」なのです。