大結節骨折で可動域制限は認められるかについて。
大結節骨折は肩付近に痛みが生じます。ひどい場合、人によっては肩が上がらないレベルの痛みにもなります。相談者の中には、肩が上がらないことで可動域制限による後遺症(後遺障害)はできないかと相談される方もいらっしゃいました。その方の画像を確認したところ、骨の癒合状態は良好でしたが、遊離骨片が残っていました。
この相談者は、結論として、可動域制限は認められませんでした。
何故なら、大結節は腕の肩付近のでっぱり部分にすぎず、この部分のみを骨折しても関節部分がやられているわけではないので、可動域制限は理屈上生じないからです。強い痛みが生じているため、肩が上がらないのはわかりますが、痛みが原因で肩が上がらない以上、ある程度の期間が経過すれば痛みが和らぎ、肩が上がるようになるといえます。
痛みがある程度緩和しても肩が上がらないと主張される相談者ももちろんいらっしゃいます。その場合、大結節を含んで大きく骨折している場合や、大結節に付着している棘上筋が断裂している場合もあります。仮に筋肉や靭帯が断裂してしまうと、肩をあげるためのばねのような筋肉の伸び縮みができなくなってしまいます。
前回で述べましたが、レントゲンやCTだけではなく、MRIも撮るようにしてください。MRIを撮ることによって医師の治療の方向性や専門医に診てもらう必要性も明確になります。
以上から、大結節骨折によって可動域制限が生じるかについては、CT、MRI画像等から、大結節の骨折範囲、それ以外の外傷の有無、程度を総合的に検討する必要があります。
少々難しくなりましたが簡単に言えば、関節等、身体を複雑に動かせる所の怪我はいろんな画像を撮って痛みや可動域制限の原因究明する必要があるという事です。
相談会では、診断名だけで可動域制限を追いかけてしまった士業の方によって、等級のあてが外れた被害者さんが散見されます。弊事務所では画像を読影・分析することで、現実的な後遺障害を予断します。画像を観ずして後遺障害の立証などできようもないのです。