5人の相談者と少なかったですが、充実した質疑応答となりました。内容はむち打ち3件、高次脳機能障害1件、鎖骨・肩甲骨骨折1件です。恒例の所感を。
1、手遅れの相談
すでに症状固定の時期です。通院内容は接骨院中心でMRIも撮っていません。通院日数も足りない。これでは「単なる捻挫で頑張って半年通い倒した被害者」とみられます。後遺障害の認定はほぼ絶望的です。毎回、手遅れの被害者に厳しい現実を言い渡さなければなりません。辛いです。
2、高次脳機能障害は追加調査が
高次脳機能障害の場合、その多くが見逃され易いため、平成23年の制度改定で疑わしき申請に対し、被害者家族、主治医に追加の医療照会が入るようになりました。その書類とは「日常生活状況報告」と「神経系統の障害に関する医学的意見」で、高次脳機能障害では必須の提出書類です。今回の相談者も不十分な申請書類で提出してしまいましたが、この医療照会で救われるかもしれません。しかし被害者とその家族の人生を左右する大事な後遺障害申請です。やはり完璧な状態で臨みたいところです。仕方ないですが、まずは結果を待ちます。
3、根性で機能回復を図る
持ち前の体力と根性で関節可動域がグングン回復しているようです。被害者としては優等生です。当然ですが後遺障害など残さず、治すに越したことはありません。しかし骨折が関節部に及べば完全回復はあり得ません。適当な時期に症状固定を進めて、しかるべき等級認定を受けるべきです。被害者は回復はもちろん、計画的に等級申請手続きをする必要があります。本件はそのような時期に、適切なアドバイスができて良かったと思います。
だらだらと長く通院すればそれなりに回復します。月日も一番の薬です。結果として中途半端な回復で等級を逃し、涙をのむ結果となります。