Q 出勤を断念し、家へ帰る途中の事故受傷は、通勤災害となるのでしょうか?
A これは、通勤行為の中断となり、通勤災害は認められません。
本件は、遅刻が確実となったことから、会社に電話、有給の請求をして、再び家に戻る途中の事故受傷です。これには合理的な理由がなく、通勤行為を中断した後の被災事故は、就業の予定もないため私的行為となり、通勤災害とはなりません。
同じケースでも、列車事故により到底、勤務先に向かうことが不可能な場合や、交通事情による遅延等は、通勤災害として認められます。
Q 出社後、眼鏡を取りに戻る際に事故受傷しましたが、通勤災害となるでしょうか?
A 退勤ではなく、出勤行為の連続で通勤災害となります。
労災は、1日について1回のみを、通勤と認めているのではありません。パートの主婦が昼休みに自宅に戻って食事を摂ることは、午前中の業務を終了して帰り、午後の業務に就くために出勤すると認められています。
本件では出社後、眼鏡を忘れたことに気がつき、眼鏡がないと仕事にならないと判断、取りに戻ったケースです。出勤途中に忘れ物を取りに戻っても、出勤行為中となります。 合理的な経路を逸脱しない限り、通勤災害として認められます。
なお、先のケースで、会社から「眼鏡を取りに帰るように」との指示がなされた場合、これは業務災害となります。 いずれにしても、適用される事実に違いはありません。