年間300人を超える交通事故被害者と面談をしています。

 ある日交通事故に巻き込まれ、ケガの苦痛はもちろん、様々な事に日常生活が乱されます。皆それぞれ大なり小なり損害を被っています。そして多くの被害者が口にするのは「加害者に誠意がない」「加害者に誠意を求める」「加害者が許せない」等加害者への恨みです。

 私は保険の代理店を20年以上やっていますが、私のお客様が加害者となった場合で相手の方がケガをしたら、一緒に謝罪に訪問します。一緒に行くことが大事です。なぜなら加害者と被害者の2者での面会はトラブルの危険性があります。また加害者側の保険会社は交渉の窓口となりますが、当事者間で勝手に約束をされてしまうことを懸念しています。「被害者と会っちゃダメ」と言う保険会社すらあります。もちろん迷惑を掛けたら「ごめんなさい」と言うのが人のあるべき姿勢です。しかし現実は一度でもお見舞いに来ることがあればましな方で、加害者から謝罪が実行されないことの方が多いのです。また何度もお見舞いに来たとしても、被害者が満足しないことも少なくありません。

 多くの被害者はこの加害者への感情を訴え、先に進めなくなってしまいます。相談会でも私や弁護士に加害者に誠意がないことを30分は言い続けます。そのような被害者にはキッパリと言います。「誠意?相手の謝罪があれば満足ですか?私たちは謝罪や誠意を引き出すことなど仕事としていません。身もふたもない言い方ですがお金を取ることが仕事です」。つまり損害賠償とはお金での解決に他なりません。誠意とはお金の隠語と解釈するわけではありませんが、被害者にできることは自らの損害に見合った金銭を相手に支払わせること、これまた法律関係者が口にするにはばかられますがヤクザ用語で「お・と・し・ま・え」をつけることに尽きます。

 被害者さんの感情もわかりますが、加害者の誠意云々で立ち止まっていては解決は遠のくばかりです。最近は下のイラストのようにチャーミングに説得し、気持ちを切り替えて頂いています。

   
  事務所のホワイトボードはこのような落書きばかり