所用の帰り、上野を散策。夕日のオレンジ色に染まった不忍池を左に動物園通りを進みます。上野動物園を抜けると、急に下町風情漂う路地に入ります。ようやく目当ての屋根瓦が見えました。1931年開業、ついに六龍鉱泉に入湯です。

270912rokuryou この入り口だけで期待は否応なしに高まります。
 泉質は重炭酸ナトリウムを多く含む、都内随所にみられる黒湯系です。温泉と違い、鉱泉なので沸かしています。鉱泉銭湯と呼ぶべきでしょうか。
 当然ながら地元の入湯客ばかりです。しかし、湯船にひしめいている様子はなく、洗い場に張り付き、せっせと体を洗っていたり、ひげを剃っていたり・・その理由は湯船に入ればわかります。湯船は2区画で左がジャグジーの気泡、右が熱湯です。温度を言いましょう。左が45度、右が47度です。これは罰ゲームレベルです。熱さでは赤羽の銭湯がトップクラスと思っていましたが、ここが都内一でしょう。なぜなら45度の湯船も気泡の噴射によって体感1度は上がります。そして、この二つの湯船以外ないのです。やはり、皆1分浸かる程度で、湯船はいつもすいています。

 湯船の縁に手をかけ、心の中で「押すなよ、押すなよ」と二度つぶやいてから一気に湯船に身を落としました。(ちなみにダチョウ倶楽部でお馴染みの熱湯風呂、50度設定ながらスタジオでは48度に下がるそうです。)

 ゆっくり疲れをとる湯ではありません。まさに江戸っ子のせっかちな気質を体現、気合を入れる湯です。

 銭湯を出ると既に夕闇迫る路地、真っ赤になった手足をさましながら歩きました。自動車も通れないようなせまい路地をくねくね進みます。ふとイスタンブールの旧市街を思い出しました。下町の路地は世界共通の雰囲気を持っているのでしょう。

 まだ熱気は冷めていませんが、迷うことなく根津駅にでました。あとは地下鉄に乗って帰るだけです。