<第3問> 「ブラックジャック」から
『ブラックジャック』、漫画やアニメを観ない方でも知っているでしょう。彼の場合、左半面に移植した皮膚が青黒く、これは瘢痕になります。さらに斜めに10cmを超える線状痕(手術痕と思われる)がざっくり入っています。現在の技術では皮膚を再移植して、手術痕の縫い痕もレーザーで何回か焼き落とす手術をすれば、かなり目立たなくなります。なぜこのままなのかは、(答え)で解説するとして・・。
それでは問題です。瘢痕と線状痕の両方が残存した、ブラックジャックの顔面醜状痕は何級でしょうか?
基準表だけでは判明しませんが・・。
(答え)
ブラックジャックの瘢痕及び手術痕 ⇒ 7級12号 外貌に著しい醜状を残すもの
ブラックジャックの左半面の変色は瘢痕と捉え、その面積は鶏卵大を超え、目立つ色からも7級12号は確実です。さらに、線状痕はゆうに5cm超えで9級16号となります。この場合、どちらをとるのか、併合して6級になるのかが議論となります。自賠責はここまで詳しく公表していません。
もちろん、内部規定は存在するようです。経験上、同じ顔面の醜状痕では、等級の優位な方を認定しているようです。したがって7級。しかし、この顔面醜状痕はひど過ぎです。裁判上では6級程度の慰謝料を請求したいところです。
ちなみに、天才的な外科医(形成術も)ですから、自分の顔も手術で治せそうです。あえて治さない理由は、原作ファンならおなじみのエピソードで語られています・・・小さい頃、不発弾の事故で全身バラバラに、顔は皮膚の移植手術を緊急で行う必要がありました。全身重度の火傷で移植する皮膚がありません。当時、小学校で同級生だった黒人(ハーフ? 肌の色が違ってしまう)の男の子だけが皮膚を提供してくれて、(後で再手術すればよいとして)急ぎ移植しました。再手術しないのは、その子のへ恩、誠意を終生貫いているからです。
⇒ <第1問>鬼を連れた剣士