保険を売るプロは言うまでもなく代理店さんです。通販の保険会社も保険販売を担うプロです。しかし、両者の区分けはどんどん薄れています。保険は生保、損保限らず、ネット販売が拡大し、もはや、個人宅に訪問しての更新手続きは珍しくなっています。

 保険代理店時代はそれこそ、自動車、火災、傷害保険の更新のたびに契約者様宅にお伺いしていたものです。しかし、保険業界はネット手続きに移行することは規定路線で、スマホでの契約、更新、異動(変更)、解約、すべての手続きは完了することになります。すると、保険の営業担当者の仕事はもはや、新規獲得だけです。また、保全作業(普段の顧客メンテナンス)が減少すれば、お客様との親密度が下がり、契約落ち、つまり、他保険へに切り替えが多くなります。長らく人間関係で保ってきた契約関係が希薄になるので仕方ないと言えます。

 確かに、保険販売は時代の流れ、それでよいかもしれません。しかし、いざ、事故の場面となれば、ネットで完遂するわけではなく、保険会社SC(サービスセンター=保険金支払部門)の人身担当、物損担当の交渉業務、アジャスター(損害調査)の査定業務など、人的サービスが絶対的に必要です。それは、保険会社だけに生じるものではなく、契約者さまが請求者となった場合にも生じるものです。

 例えば、高齢者や重傷者がケガをした場合、保険金請求を円滑に進めることにそれなりの困難があります。特に、後遺障害などはしっかり医療立証しなければ、等級が薄まります。また、複雑を極める保険から、何がどのように支払われるのか? もはや、保険代理店さんやSC職員でさえ、簡単に見落とします。それは、相談会で被害者の皆様と対峙していて痛感します。例えば、傷害一時金がでることを知らない、実家の保険が適用されることを誰も指摘しない、弁護士費用特約の加入に気付かないなど、様々な保険金請求漏れの根です。私達の相談業務はあたかも、これらの指摘が第一に思えてきます。「この事故でおりる保険を精査します」・・このような業務が、保険の世界で残された人的サービスの一つかもしれません。

掛金を払ったら、いざと言う時に保険金(恩)を返してもらわないと・・詐欺になってしまいます

 
 最近は保険代理店さまとタッグを組んて、保険金の請求場面に力を入れています。結局、保険は加入しても、請求しなければ、何の役にも立ちません。保険の請求手続きは加入手続きより重要であり、必要あれば誰かがそのサービスを担わなければなりません。それこそ、弊社の業務の一つと思っています。常に医療調査の傍ら、損保、生保、共済のみならず、労災その他公的保険への請求手続きを行っています。つまり、保険請求のプロを自覚しています。