先月の代理店内研修から、質問と回答を取り上げたいと思います。
私自身、長く損保業界におりまして代理店経営を通してそれなりに経験を積んできました。しかし交通事故外傷に深く関わる現在の仕事になって初めて知ったことがたくさんあります。損害保険のプロである代理店さんと言えど知らないことが実に多いのです。特に後遺障害の知識については、意図的と思えるほど保険会社は隠匿して代理店や社員に教えていないと感じています。
そのような中、研修会では活発な質疑応答が展開します。おなじみのQ&A方式でいくつか紹介します。
(質問)
相手が任意保険に入っていません。しかし被害者請求しなくても契約者さんに人身傷害特約が付いています。人身傷害の対応で問題ないでしょうか?
(回答)
確かに治療費の確保が出来て一安心です。しかし慰謝料はあくまで任意保険会社基準です。特に後遺障害が残るような重傷では、最終的に弁護士の請求する金額の半分以下(注)で解決となり、大変残念です。その場合はまず治療費・休業損害は人身傷害で確保します。そして後遺障害についてはあくまで相手を訴え、判決をとってから、判決額を自身の保険会社の人身傷害特約と無保険車傷害特約に請求します。人傷社はその判決額をそれなりに尊重します。これでもらえる金額が14級でも100万以上差がつきます。
人身傷害特約ですべて解決では大損します。
(注)高齢者や被害者に過失割合が大きい場合はその限りではありません。