等級は狙って取るものでしょうか?
毎回、被害者さまの症状を観察、画像や診断書を精査して、目標等級を定めます。その意味では狙っていると言えます。一方、審査側である自賠責調査事務所は申請側の狙いとは裏腹に、基準に則って判断します。しかし、審査側も私達と同じ視線で、あたかも同じ過程を踏むように等級を決定しています。等級申請の仕事は審査側と意を同じくする作業かもしれません。
本件は1回目の申請で、申請側と審査側の的が違ったケースです。再申請(異議申立)を行い、同じくしました。多くは2次的な主張である神経症状(12級13号)を初回で認めてくれるものですが・・自賠責調査事務所は見落としたのか、意図的に蹴ってきたのか・・やはり、人間が審査するものです。少々、感情的?に感じてしまいます。
非該当⇒12級13号 異議申立:橈骨茎状突起骨折(50代男性・東京都)
【事案】
自動車搭乗中、交差点内で右折待ち中、前方から飲酒運転の車が右折専用レーンを直進してきたため、正面から衝突を受ける。骨折した手関節を主訴に後遺障害申請をするも、結果は非該当であった。
【問題点】
相談に来られた時点で受傷から1年以上経過しており、病院にも5ヶ月以上行っていなかった。他にも多数骨折していたが、後遺障害の対象部位は手関節のみ、しかし、時間の経過と共に可動域制限は回復していた。
【立証ポイント】
まず、手首のCT撮影依頼。Drも協力的であり、快諾。CT画像から茎状突起と月状骨から遊離骨片がみられた。橈骨茎状突起の変形と疼痛の残存を理由に12級8号、あるいは13号を目指した。しかし、遊離骨片程度での変形狙いに調査事務所の怒りを買ったのか、1か月もしないうちに非該当の通知が来る。しかも神経症状(12級13号)の認定すらない。このような大怪我で非該当は納得がいかないため、異議申立をすることになった。Drに事情を説明し、再度書類を依頼。異議申立は長管骨の変形よりも、痛みの残存を主訴に立証を固めた。
申請をすると今回も1ヶ月も経たないうちに12級13号が認定される。まるで自賠責調査事務所はミスジャッジを認めたかのよう。審査には最低でも3ヶ月はかかると依頼者に説明していたので、このスピード認定には依頼者も驚いていた。本件のMVPは患者想いのDrである。