山本さんイラストsj
 前回の内容は主婦を対象としておりましたが、これとは別に、似て非なる主夫が交通事故に遭ってしまった場合、主夫も主婦の年収と同様の金額で逸失利益を請求できるのでしょうか。

 結論から言いますと、主夫であっても、主婦の逸失利益で計算することは理論上可能であり、また、過去の例で認められたケースもあります。

 しかしながら、主夫の証明は主婦よりも非常に厳しいのが現状です。

 証明内容の根本としては、その家族の家計を担っているのが奥様であり、他方、旦那様は、端的に言ってしまえば、内助の功に専念しているかどうかがあげられます。

 具体的には、

① 家事をしている実態の説明

② 奥様が一家を支えるだけの収入を得ていること

③ 奥様の収入により養われていること

④ 世帯主が奥様であること

 があげられるとみております。なお、これらは過去に認められた際に実際に証明に成功した場合を基にしておりますので、確定的な要件ではありません。

 ①については、ある弁護士さんは具体的にタイムスケジュールで表し、どこで買い物をして、いつ子供の迎えに行くのか、料理をどのようにしているのか、家の掃除をどのようにしているのか、等を説明させて、交通事故でどこに支障が出ているのかを具体的に精査した上で立証します。

 なお、等級申請から始める場合には、これらを文章でまとめて(申述書)、被害者請求の際に同時に提出します。弊所も医証を集める際には生活の実態を確認してから弁護士に託します。

 ②③については、奥様の源泉徴収票により、証明できます。つまり、源泉徴収票に記載されている所得額と、その配偶者欄に旦那様の名前が記載されていることを確認して証明します。

 ④については、住民票で一番上が奥様であれば証明がよりやりやすくなります。
しかし、住民票については、動かしていない場合や、そもそも別々であることもあり、実態が反映されていない可能性がありますので、ご注意ください。
 
 以上から、主夫の証明で必要な書類として、家事の実態を説明した文書(申述書)、源泉徴収票、住民票等があげられます。
 
 交通事故に詳しい弁護士やその他士業に相談する場合、実際に契約をする場合には、上記各書類を用意することをお勧めします。
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