足の甲をタイヤで踏まれるなどで、中足骨が折れます。中足骨は、足趾(足の指)の骨につながる足の甲の部分です。その数本がバキバキに折れて、リスフラン関節が脱臼する重症もあれば、レントゲンを撮ったら第5中足骨が折れていた、などの軽度の骨折もあります。
バキバキの例 👉 7級相当:脛骨・腓骨・第2~5趾リスフラン関節脱臼骨折(60代男性・千葉県)
よくある第5中足骨のみ骨折 👉 14級9号:中足骨骨折(30代男性・山梨県)
上のバキバキのケースは、建設業の方でした。現場作業への復帰は相当に厳しいものです。それでも、足底版つきのシューズ、補装具をつけて働いている方もおります。一方、第5中足骨にひびが入った程度、保存療法とした方はほぼ完治します。骨の癒合は年齢はもちろん、個人差があります。それでも、深刻な障害を残すものではありません。
第5中足骨折だけでも、痛みから体重をかけて足をつけないものですから、松葉杖の使用となる方もおります。もちろん、受傷直後は仕方ありません。しかし、痛みがあるからと1か月が経ち、2カ月目も杖は離せず、3カ月目になって「骨は癒合しています」と言われても、痛みから仕事を休み続ける被害者さんも少なくありません。
確かに「痛み」は残っているかもしれません。全体重をかけての歩行は辛いと思います。しかし、杖が無いとまったく歩行ができない、すべての仕事が不可能・・とはないはずです。明らかに大げさと取られてしまうのです。極端な例でしょうが、私の剣道部の仲間はテーピングをぐるぐる巻きして、翌日から休まず稽古をしていました。ほとんど休まずに、仕事帰りに通院している方も多いのです。
骨折様態、程度にもよりますが、骨の癒合さえ進めば、お医者さんも復職可能としているはずです。何より、長期の休みとなれば、職場でのキャリア・信用も駄々下がりです。交通事故被害者全般に言えますが、その被害者意識から、一層痛みを強く感じ、治療が長期化することが多いのです。休業損害や労災の休業給付がでるものですから、無理して復職をしません。気持ちはわかりますが、社会復帰の遅れや日常生活の犠牲が最も大きな損害のはずです。被害者とは言え、ケガに甘えていられないのです。
昨年、中足骨の亀裂骨折から1年も休職、保険会社の打切り後もずっと治療中の方がおりました。確かに痛みは辛いものですが、その過保護とも言える長期間のギプス固定によって、足指から足関節まで関節拘縮を起こしていました。わずか中足骨のひびから、二次的な障害へ発展しているのです。これは、完全に被害者さんの治療方針に問題があると思います。しかし、誰を恨もうと、悪化させた責任は他でもない、患者自身なのです。
被害者さんの義務は2つあります。
① 損害賠償で実利ある解決を果たすこと。
② 早期に回復を図り、社会復帰し、日常生活を再建すること。
①はお金の獲得、②は治療努力と日常を取り戻すことです。
しかしながら、それができない、どうも気持ちが弱い人も方もいおります。何年も解決せず、治療中に甘えて、人生を先に進ませることをしない被害者さんは、怠惰とモラトリアムの毎日を過ごしています。日課は、プレステとSNS、たまにパチンコと通院です。次第に運動不足と過食から成人病一直線、今度は内科通いに発展します。ケガの回復にも、当然に悪影響を及ぼします。そのような被害者さんのケガで、中足骨骨折が多いように感じます。「痛くて歩けない」ことが、恰好の休業理由になるからです。なんとか励まして、金銭解決と日常復帰を促しますが、やはり最後は本人次第なのです。