PLS 膝関節後外側支持機構損傷(ひざかんせつこうがいそくしじきこう)

(1)病態

 PLSは、LCL外側側副靱帯、膝窩筋腱と膝窩腓骨靱帯で構成されています。PLSは、主に膝の外側の安定性、外旋安定性に寄与している重要な靱帯と腱の複合体です。

 PLS損傷は、膝の靱帯損傷では少ない症例ですが、交通事故に代表される高エネルギー外傷では、複合靱帯損傷の形態で発症しています。

 単独損傷は少なく、特に、後十字靱帯損傷、膝関節の脱臼を合併したときは、膝窩動脈損傷、腓骨神経断裂などの血管・神経損傷が危惧され、重症例となります。
 
(2)症状

 急性期のPLS損傷は、膝外側部に圧痛を認め、広範な腫れと皮下血腫を認めます。PCL損傷、半月板損傷を合併しているときは、関節内血腫を伴います。

 PLS損傷では、内反動揺性と回旋動揺性のいずれか、あるいは両方が見られます。これらの動揺性を確認することにより、どの靱帯を損傷しているかが分かります。
 
(3)診断と治療

 何よりMRI検査ですが、損傷を正確に読み取ることは、膝関節の専門医でなければ無理です。内半・回旋動揺性がみられたら、早期に専門外来へ行くべきです。
 
 内反ストレステストは、被害者を仰臥位で、完全伸展位と30°の屈曲位で行います。30°屈曲位のみで関節裂隙が開大するときは、LCL単独損傷が疑われます。完全伸展位でも、関節裂隙の開大が認められるときは、PLSの広範な損傷やPCL損傷の合併を疑うことになります。

〇 ピボットシフトテストも有効のようです
 膝をひねって伸ばした状態から徐々に曲げていき、不安定さを確かめます。PLS損傷、複合靭帯損傷の患者さんに対して、専門医は「回旋動揺性」を確認するようです。

 
 LCL損傷でも、腓骨頭からの剥離骨折では、スクリューによる固定が行われています。靭帯実質部での断裂は、LCL靱帯の縫合術が行われています。大腿骨付着部での剥離骨折では、海綿骨スクリュー固定が実施されています。

 実際のところ、LCL単独損傷は稀で、腸脛靭帯や広範な関節包の断裂を伴うことが多く、損傷した靭帯に対しては、速やかに修復術を行い、剥離骨片を伴うときは、骨接合術を併用すべきです。
 
(4)後遺障害のポイント
 
 複合靱帯損傷のところで、まとめて解説しています。
 
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