手指の機能障害(多くは可動域制限)による後遺障害等級

 手指の障害の傷病名別の各論に入る前に、手指の可動域制限の残存について、その等級を整理しておきましょう。機能障害では、他に”動揺性”といって、関節がぐらぐらになるものもあります。指の靭帯が切れて、関節の保持ができなくなる状態です。手指の動揺性による機能障害について、自賠責、労災共に基準が明示されていないようです。この場合、程度に応じて「〇級相当」で判定されるものと思います。
 
(1)等級表

 手指の全部の用を廃したものとは、母指ではIPより先、その他の指ではPIPより先の2分の1以上を失ったもの、また母指ではIP・MCPその他の指ではPIP・MCPのいずれかに正常可動域の2分の1以下に制限されたものを言います。両手であれば4級6号が、片手であれば、7級7号が認定されます。
 
(2)可動域の計測

 手指の関節は、母指にあっては、指先に近い方からIP、MCP関節、

 母指以外の手指にあっては、指先に近い方からDIP、PIP、MCP関節といいます。

 手指の関節に参考運動はありません。
 
① 母指 (第1指、親指)


 
 

② その他の指 (示指=人差し指、中指、環指=薬指、小指)


 
 

 
 
〇 手指の機能障害に伴う後遺障害は、MCPとIP関節が対象で、どちらかの関節可動域が、健側に比較して2分の1以下にならない限り、用廃ではなく、非該当となる厳しいものです。毎度、専用の別表を用いて理学療法士さんに計測・記載頂いています。できるだけ立ち会って、その計測を見守ります。理学療法士さんは医師と違って、日々計測をしていますので、正確性が期待できます。やはり、餅は餅屋、関節の計測は医師ではなく、理学療法士さんが安定しています。
 
〇 DIP関節に至っては、屈伸することができない≒硬直の状態で、14級7号になります。

 もちろん、疼痛を残したときは、理論上、14級9号、12級13が認定されますが、大多数は14級9号のようです。DIPの可動域制限ですが、労災の基準でも屈伸不能の14級7号しか設定されていません。DIPについては、審査側にどう伝えるか・・毎度思案しています。
 
 参考 👉 DIP関節の等級認定は?
  
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