舟状・月状骨間 解離 (しゅうじょう げつじょうこつかん かいり)

(1)病態

 ↑ 図の通り、舟状・月状骨間靭帯が舟状骨の靭帯付着部で断裂して発症します。

 舟状・月状骨角は、正常では30~60°ですが、70°以上となると手根背屈変形、舟状・月状骨間解離となり、XP手関節正面像では、舟状骨と月状骨の間が2mm以上の間隙が認められます。
 
(2)治療

 治療は、受傷後の早期では、手根骨の配列を整復、Kワイヤーで6週間、その後装具を6週間装着することになり、このレベルでも、職場復帰には、6ヶ月を要します。受傷後かなり経過しているときは、舟状骨を周囲の手根骨と固定する手術が実施されます。
 
(3)後遺障害のポイント 

Ⅰ. 長期間放置されず、適切な治療が施されれば、後遺障害を残すものではありません。
 
Ⅱ. オペでも離開が修復できない場合、理論的には12級13号の対象になります。しかし、それはオペの失敗を意味しますので、あくまでレアケースと思います。
 
Ⅲ. 診断名が受傷初期からあり、痛みや不具合が残存した場合、おなじみの神経症状:14級9号の審査に付します。ただし、確定診断が遅れた場合、事故との因果関係が疑われます。その結果、14級すら逃すことになります。町の整形外科で、この診断名にたどりつくことは難しいものです。確定診断ができる専門医に早く受診することが大事です。問題は手関節の専門科・専門医が少ないことでしょうか。
 
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