私が解説しましょう
保険会社や弁護士は逸失利益を計算する際、ライプニッツ係数を適用します(他にも新ホフマン係数というものがありますが、主流はライプニッツ係数です)。その数値が来年から改定されることになりました。皆様も自動車保険(任意保険)に介入していれば、保険会社からそのお知らせの通知が届く頃と思います。
1、ライプニッツ係数とは
交通事故で障害を負わなかったら得られたはずの利益(逸失利益)を請求・受領する場合、その利息分を控除するための計算で適用される数値です(中間利息控除)。
2、なぜ中間利息分を控除する必要があるのか。
本来、その未来の利益=収入は毎年毎月ごとに収入があるはずです。それを示談時や判決時に喪失期間分まとめて全額を収入することになるため、まとめて先にもらう分について利息が発生することになります。
※ 民法上の考え方ではお金を持っていれば、その分利息が発生することになると考えます(他人に貸したり、投資したりして利益を得られるからです)。
このことから、その期間分の利息を控除しないと、被害者はその間の利息分の利益を別途得ることになり、不公平となります。そこで、利息分を逸失利益から控除する必要があります。
3、なぜ改定するのか
このように、ライプニッツ係数は利息分の控除を根底に置いていることから、法定利息を基準に作成されます。法定利息とは、交通事故などの賠償金を請求する際、事故日や症状固定日に払われるべき賠償金について、「解決(判決)時までの間、待たされた分、利息が発生する」として、賠償金に加算する考え方です、(示談や裁判上の和解では、特別な加算や調整金などの加算は検討されますが、直接には発生しないとされます。)
この点、2020年に民法が改正され、法定利息はこれまで5%だったのが、3%となります。
0金利時代に5%とは、確かに「利息高すぎ!」との声が続いていました。
保険会社はこの改正に伴って、ライプニッツ係数を変更しました。つまり、利息の控除分を減らしています。これは、後遺障害・逸失利益を請求する側(被害者)の賠償金のUPに繋がります。(ただし、同時に裁判上の判決では遅延利息金は下がりますので、判決の場合は一概に言えません)
なお、これで数値が永久に確定したわけではなく、法定利息は3年毎に見直すことも決定していますので、法定利息同様、見直しが必要であれその都度改定する様子です。