昨日、ハローワークから電話がありました。企業の求人数が低下している中、業種ごとの求人動向、経営状態をアンケートしているとのことです。
昨年からのコロナ不況がひしひしと感じられるのは、消費の落ち込み以上に、求人数低下が最も深刻となっているようです。企業が求人するのは、将来の増収の見通しあってこそです。今年の春の新卒採用率も当然に低下、さらに、非正規社員は派遣切りや雇止めが一層進むはずです。いったいつまでコロナ禍が続くのか・・先行きを考えれは当然の傾向と言えます。
秋葉事務所では、以前からハローワークさんにお世話になっていました。実際、行政書士の求人を出すと、毎回3か月で30件程の応募がありました。多くは、行政書士資格を取得したばかり、あるいは勉強中の方々でした。実務経験を積むことが第一目標のようですが、対して求人をだしている行政書士事務所は、一都三県ですら10件程度、地方は0の県がほとんどです。求人は無きに等しいものなのです。その事務所も、ほとんどが行政書士業務をメインとしない税理士・司法書士・社労士との併設事務所です。ピンの行政書士(法人)による求人は、東京・大阪など都市圏でようやく2~3か所です。「行政書士事務所の求人は、ほぼない」と言っても嘘にならないでしょう。
令和3年1月末集計では、行政書士の総数は49748名、その内使用人行政書士の数は847名ですから、単純計算でも一人開業が98.3%を占める業界です(無資格の被雇用者を含めませんが、それ程多くないと思います)。行政書士事務所とは、そもそも人を雇う業種ではないのです。一人開業、事務所は自宅の応接間、事務員は奥様のみ、これが普通です。ハローワークの方に冒頭から、そのような説明をしたところです。「行政書士の求人動向など参考にならない」、としか言いようがないのです。
弊所の今までの応募者をみると、さらに暗たんたる気持ちになります。行政書士の応募者は、試験合格者より、特認行政書士(公務員として通算17年以上(中学校卒業程度の場合は20年以上)勤務で、希望すれば資格を授与される)が多い位です。年齢も50代後半から80代の大先輩もおりました。初年19万円の給与なのに、一体全体なんで応募してくるのか不思議です。普通は天下り先で後進の指導にあたるか、恩給もらって悠々自適な後半生をおくってもらいたいところです。就労意欲は尊敬しますが、うちの事務所の新人指導係は20代です。子供どころか孫の下について修行をすることになるのです。その先輩方は「それでも構いません」と言いますが、「こっちが困ります」。
実際、行政書士会があまり出さない集計ですが、49748人中、およそ半分は特認が占めているのではないかと思います。このような業界ですから、行政書士が社会的な認知と評価を得るのは、今世紀中には無理なのでは?と思います。弁護士や税理士、司法書士、社会保険労務士に等しく、士業事務所として確立させるには、特認制度を改正して人数を減らすか、別資格に分化するか、いずれにしても行政書士は試験組を主体に、修習制度を充実させてしっかり独立開業を後援すべきと思います。全体の数も減らして個々の業務量を増やし、せめて30%でも自宅外事務所を持つ業態に変える必要があると思います。
「街の法律家」などと標榜していますが、今のままでは、法律家どころか一士業者としての尊敬は得られないと思います。まぁ、そりゃ、関係者の誰でもわかっていることですが・・利権構造が絡んだ旧態然とした体制は、一朝一夕では変わらないものです。
以上、ハローワークさんに愚痴っても仕方ない話ですが、行政書士を語ると実に寂しい気持ちになります。