人身傷害の担当者と任せた弁護士・・・果たしてこのような解決でよいのでしょうか?
 
 
 良いわけありません!(怒) 交通事故被害者は自らが被った損害を最大限に賠償してほしい。そして、決して安くない掛金を払って契約した自動車保険からも約束通り保険金を払ってほしい。これは当然のことです。

 それでは、解決策を提案する前に、なぜ、お願いした弁護士先生が人身傷害保険の請求に消極的なのか、これを分析しましょう。
  
理由(1)引き受けたのは加害者(≒相手保険会社)との交渉ですから・・

 委任契約した弁護士さんは、あくまで「相手との賠償交渉を担っただけ」なのです。確かに契約書を読むと、「依頼者の契約している保険への請求を代理して請求します」などの記載はありません。それは「自分でやって下さい」なのです。もちろん。アドバイス的なことはあるでしょうけど、保険金請求の代理までお金を取ってまで弁護士がすることではないのです。

 しかし、昨日の①の例のように、自身の過失分が満額回収できない事態になったら・・どうしたらよいのでしょうか?
 
 また、労災や健保、障害年金や介護保険の公的保険、その他傷害保険、共済・・・全部、自分でやらなけれなりません。自分でサクサクできるビジネスマンはなんとかしますが、書類仕事が苦手な人や高齢者は難渋しています。重ねてケガのハンデがあり、中には障害を負った人も独力で頑張らなければならないのです。家族の助けがなければそれこそ大変です。
 
理由(2)その費用は弁護士費用から出ないので・・

 ご存じ弁護士費用特約、これがあれば被害者は弁護士への報酬を気にせず依頼できます。しかし、この特約は「損害賠償に関わること」にしか使えません。約款上にはっきり書かれています。したがって、加害者側ではない、公的保険や自身加入の保険への請求、諸事務は対象外なのです。

理由(3)だったら、弁特外で有償でやってもらえませんか?

 と希望する被害者さんも少なくないはずです。しかし、肝心の弁護士先生もすべての保険事務に精通しているわけではありません。やったことのない手続きは門外漢なのです。それに、時間食ってかなり面倒です。比べると、賠償交渉の方がむしろが楽な業務であることもあります。したがって、お金をもらってまで面倒をみる責任を負いかねるのかと思います。

 さらに、人身傷害の場合、約款には「人身傷害の保険金は人身傷害の基準で計算します」と書かれています。相手といくらで示談しようが、関係ありません。(保険会社各社で表現の違いがありますが、おおむね「裁判での決着であれば、その金額で計算する」とはしていますが。)
 一定の弁護士は「約款に書かれているから、これは絶対で、交渉の余地はない」と解釈しています。交通事故をよく知る弁護士は交渉の余地があることを知っています。しかし、約款=文章化された約束ですから、契約の効力を知る弁護士こそ拘束されてしまう傾向なのです。

 結局、「人身傷害の請求は、依頼者と保険会社(人身傷害加入の)の交渉で」と、委任契約から、交通事故業務から、切り離してしまうのです。
 
理由(4)逆に依頼者さんが「人身傷害への請求は請求書を出すだけですから自分でできます」と・・

 頼もしい被害者さんではありますが、やはり、人身傷害の基準に阻まれます。自身の過失分を”裁判基準で”回収するのは簡単ではありません。この理屈を知るには、かつて、人身傷害の約款解釈で起きた”裁判基準差額説VS人傷基準差額説”の話からしなければなりません。そして、満額回収を実現するには、(平成24年2月最高裁判例後に改定された)各社約款に応じた対策が必要です。
 たいてい担当者から「人身傷害の基準で計算しました」と押し切られます。ここに至って、任せていた弁護士に相談しても、やはり「仕方ない」との回答です。
   
 
 これらの葛藤の末、スマホで検索の結果、秋葉事務所を見つけ、私どもの電話が鳴ることになります。

 つづく。